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『ぅ……』
あれ、なんか泣きそう
産声以外で泣いたことがないという私は廊下をローラースケートで駆け回って、いい歳こいて母様におしりを叩かれながら折檻された時も
留学先でエドワードという、キスをする時に白目になる残念な美青年に振られた時だって泣かなかった
それなのに今、雪山に1人でいることにとても恐怖を感じ、泣きそうになっている
『尾形に襲われるより怖い…雪山こわい…』
なにこれほんと泣きそう
さっきからカサカサ音がするし！！
まさか熊！？
く、くくくく熊ってあのヒグマしかいないよね？
人が食われた事件をいくつも知ってるわよ…
音は次第に大きくなり、ついに私の背後まで迫ってきた
ドン！と背中に衝撃が走り、バランスを崩した私は前に倒れてしまった
正直走馬灯が見えた気がする
あぁ、私ここで熊に襲われて死ぬのか
なんて思ったのに
『ヒッ…！』
私を押し倒したのは熊でも鹿でもない
「俺に襲われるより雪山が怖いって…
さっきそう言ったか…？」
『ぉ、尾形…』
確かに私より前を進んでいたはずなのに
いつの間に背後に迫った彼は、息一つ上げてない
「てめえ…なんのつもりだ…
なにを生き急いでんのか知らねえが、殺されてえならお望み通り今すぐ殺してやるよ」
私を見下ろす尾形の目は暗くて、真っ黒で
なにも映していない
チャキ、と音がして
銃口を向けられる
尾行…バレてたみたい
バレていたならもう仕方ない
『死にたくないから…』
「はぁ？」
『生き残るためにおまえの後をつけてただけだ！』
そう、弟のために生き残るのが大事なの
だからまずはおまえの弱みを握り、消えてもらうのが目的なの！
邪魔をするものは誰だろうと消す勢いなのだ
思い知ったか！
分かったらさっさとその汚いケツを退けなさい！
「……」
真っ直ぐ見つめると、さっと尾形は目を逸らし
銃口を下げた
「…付いてこい」
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
