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鶴見中尉は、自分の馬に私も一緒に乗せる
まるで逃がさないとでも言うように
もう今更、逃げ場なんてないのに…
夜通し走り続け、空に明るさが戻った頃はもう既に見慣れた小樽の街へ戻ってきていた
山を駆け抜け、しばらく経った頃
銃声が1つ、山に響いた
「近いな」
『…はい』
この先に尾形がいるのかと思うと
胸が脈打ち、呼吸が乱れる
きっと尾形は殺される
鶴見中尉に従うと誓ったのに
頭の中は尾形の無事ばかり祈ってしまう
あんなに酷いことまで言われたのに、一体どうしてなんだろう
どうかこのまま私達に見つからないように逃げ切って
そんな私の願いも虚しく、間を開けて銃声が2つ響いた
近すぎる…！！！
このままでは尾形は見つかってしまう
「馬から降りて近づくぞ、装弾しているか？」
中尉のそのひと言で、一気に体温が下がった気がした
なにかあれば
尾形を撃てということだろう
まるで体中の血液が抜けてしまったかのように
手先が冷えていく
パァンと
すぐ前方から、発砲音がした
『あ……』
中尉の視線を追えば、私達に背を向ける尾形の姿があった
「奴の頭は撃つな」
すぐに尾形は身を隠し、雪景色に紛れた
逃げて、はやく
尾形に教わった銃で、尾形を撃ちたくない
遠くからほかの兵士が
「三島です！」と叫ぶのが聞こえる
三島？
三島もここにいるの？
でも三島の姿なんて見えない
「やはりさっきの銃声は追跡に気づかれた三島と尾形が交戦したものだったようですね」
月島の言葉に耳を疑った
三島と尾形が？
じゃああの横たわって血を流している兵士は…
『そんな…』
ありえない…
いつも声をかけてくれた優しい三島を
平気で殺せるなんて
「頭をぶち抜いてよし」
鶴見中尉がそう声を上げたと同時に、兵士達は走り出す
『まっ…』
止める間もなく、追いかけた兵士がどんどん倒れていく
なんで、なんでこんなことに…
「貴様は追わなくていい」
『鶴見中尉…』
尾形たちの姿はもうとっくに見えない
「それとも…奴と一緒に逃げたかったかい？」
そうか…中尉はまだ私を疑ってるんだ
私を積丹まで連れていったのは
中尉のいない隙に尾形が脱走すると踏んでいたから
私が尾形と逃げないように離れなかったんだ…
『いえ…』
そう答えれば、中尉は嬉しそうに私の頬を撫でた
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
