男装准尉の夜明けは遠い【ゴールデンカムイ】

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最後に自分を守るように自虐的なことを言うのも


頭を撫でる仕草も全部そうだ



心理学というものを学んだ時に聞いたことがある


子供が頭を撫でられると安心するのと同じだ

自ら髪の毛をいじることは、人への依存心が強く出ている時や、不安定な心を他人に撫でてもらう代わりでもあるらしい

甘えたい、安心したいという心の表れなんだ




複雑な家庭環境で歪んで欠けた愛情しか与えられなかった尾形は

目の前のこの人間は

ただ愛されたいだけなんだろう…


取り繕って、でもどこかで自分に自信がなくて諦めてるような






非の打ち所がない程強くて、完璧に見えた尾形

本当は脆くて打たれ弱いのかも知れない

この人を傷付けたくない、これ以上誰にも傷つけられたくない

そう思った








席を立ち上がり、いつもよりちいさく見える尾形をギュッ！と思い切り抱きしめた



「なっ…おいなんだ、」



『…』



「…おい」




私がいるよ、そばにいるよ
愛してあげるよ
大事な部下だよ

そんな言葉、尾形は欲しいかな？

今の彼に必要なものではないだろう







『上手い言葉かけれないや…』




「…ふん」





こんな時、寧一郎ならなんて言うかな


人の心に寄り添える弟なら、上手い言葉がかけられたのかな


心が未熟すぎて嫌になる





『…あーー！！！ダメだ！飲もう尾形！！』


「は」



無理に取り繕うのは私には向いてない！




『私がとことん付き合うから！この際ドロドロしたもの、全部吐いちゃお！？』



ね！？と首を傾げると、プッと尾形が吹き出した




「貴様が胃の中の物を酒と共に吐き出す方が早そうだな…」

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