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『先に見本見せなさいよ！』
私のあまりのまごつき具合に尾形はまた一段と深いため息をついて銃を持ち直した
「チッ…貸せ」
寧一郎が言うにはコイツは射撃の名手らしいしね！
まずはお手並み拝見！
「１回だけだぞ…」
そう言った途端ﾊﾟｧﾝ、と銃声が響き
数十メートル離れたところにいた兎が崩れ落ちた
山が静まり返り、ドサ、という命の灯火の消える音がやけに鮮明に聞こえた
あまりの速さに息をすることも忘れていた
尾形が額に手を添え、ふん、と笑う
「これで分かっ…『すごぉーい！！！！』
『1発で…！！あんなに遠くにいたのに！？』
なに今の！初めて見た！！！
『尾形あんた凄いんだね！こんなに驚かされたの初めてだよ！』
「……」
あ…
顔が近い
『ごめん、つい興奮しちゃって！』
隣にいる尾形に思わず詰め寄っちゃってた
パッと離れたのに尾形は固まったまま
目を見開いて、心底驚いてるようだった
時が止まったみたいに、瞬きすらしない
『おーい…？尾形？
あの兎はどうするんだ？持って帰るのか？』
目の前で手を振るとハッ！となった尾形
お、気付いた
「………売る」
いや声ちっさ！
尾形は私を無視し、そそくさと鹿を運んで行ってしまった
『ま、まって！私も行く！』
山を降り、兎を売って兵舎へ帰る頃にはもう陽が朱色に染まりかけていた
北海道は日が沈むのが早いんだな
『う、兎って売れるもんなんだな！なぁ尾形！』
「……」
1歩前を歩く尾形
全然喋らなくなっちゃったし…
こりゃ完全に嫌われたか？
もう射撃は教えてくれないかもなぁ…残念
そう思ったのに
「…准尉、いつの間に仲良くなったんですか？」
『え、えっと…』
食堂でいつもの様にみんなと夕食をとっていたんだけど…
今日は何故だろう
普段は絶対に隣にこないはずの尾形が、私の隣を陣取っていた
あまりの距離の詰め方に周りの兵士は唖然としてる
それだけだったらまだ良かったんだけど…
「おい起きろ」
『ん…こんばんは…？』
「馬鹿野郎、もう寅の刻だ」
どうやって私の部屋に忍び込んだのか、朝礼のない日にまで叩き起されて山に連行されるようになってしまい
『わぁ〜綺麗だね！空気が澄んでるからかな？』
『…ん』
晴れた日の早朝は、なぜか
尾形と冬の日の出を見るのが日課となってしまったみたいだ
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
