第3話 ページ3
＿＿「うへっ、ノーマンが「鬼」だ」
ドンが嫌そうな顔をした。
代わって、ノーマンは笑顔だ。
「レイとAは？」
エマがストレッチをしながら私とレイに訊く。
「パス」
「やめとく」
「OK。数えるよ！」
私達がそう言ったのを聞いてから、ノーマンは数え始めた。
10数えると、ノーマンは森の方へ走っていった。
木登り、かくれんぼ、鬼ごっこ。
小さな頃から、私達はこの森で遊んでいた。
ハウスを囲む四方の森は、勝手知ったる
このハウスの敷地は広いけれど、近づいてはならない場所が2つある。
外へと通じる「門」と、
森の「柵」の向こう。
でも、その理由は重要ではなかった。
私達が
�犹簔�は「外」へ出てはならない�瓠帖�
だから、私も、エマも、ノーマンも、レイも、みんなも。
まだ、「外」へ出たことはない。
でも、「門」へは一度だけ、内緒で行ったことがある。
普段は閉じていて、誰もおらず、廃墟のような場所。
『一体、何から僕らを守っているんだろう』
「外」はどこか不気味に見えた。
でも、外について知る術はあった。
絵本、小説、学術書。図書室に並ぶ、本の数々。
世界はすぐそこに広がっていた。
手を伸ばせば…すぐ、そこに。
「A」
「…なに、レイ？」
「それ、なんの本？」
「んーっとぉ…『臨床医学の誕生と歴史』」
「…またそれか」
「だって、面白いんだもの。
…あ、ドン、捕まったみたい」
「なら残るは…エマ1人か」
ノーマンが鬼の鬼ごっこ。
最後はやっぱり、ノーマンとエマの一騎討ちだよね！
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