四畳半トリップ~《アズカバンの囚人》起~【ハリー･ポッター】 (ページ6)

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「おや」と彼の後ろから椅子に座っていたダンブルドアが顔をのぞかせて、柔和な笑みを浮かべる。

ダ「A、今、新教師とお話をしていたのじゃ」

そういうと彼は私に向き直って、心底優しげな笑みを浮かべた。

「どうも」と言ったのは、紛うことなきリーマス･ルーピンである。

彼の緑の瞳が微かに細められ、穏やかな表情をまた浮かべていた。

ルーピン先生は画面よりも、目の前ではそれよりも素敵な人に見え、物腰柔らかな口調と穏やかな表情───

私はグッと来た。

日頃から教授の精神的苦痛に耐え抜いてきた私にとっては、一種の癒しのように感じられて、『くうぅ』と拳を握りたくなる。

『こんにちは』

私は平然を装って、ダンブルドアの前、いわゆるルーピン先生の隣に立って、ダンブルドアを見据えた。

ダ「さてさて、お話は何かなA」

ダンブルドアは微笑んだ。

久しぶりにどこかの引き出しの奥から引っぱり出してきたみたいな、懐かしく親密な微笑み。

『学会に提出したものを見て欲しくって』と言った私は、書斎机に二つの瓶とレポートを置いた。

ダ「楽しみじゃ」

彼は楽しそうに瓶とレポートを様々な方向から見つめ玩味すると、「素晴らしい」と口角を上げる。

すると上から(と言っても、具体的にいえば横からなのだが) 春の日差しのような、柔らかい彼の声がして、私はふっと顔を上げた。

リ「そう、やっぱり君なんだね───新聞で見たことあるような気がしたんだ」

そういった彼はまた自分の中の記憶の私と目の前の私を確かめるようにじっと柔らかな眼差しで見つめる。

『はい、A･ブラックです。よろしくお願いします』

右手を差し出すと、彼は少々戸惑いながら「ブラック……」と呟いてから、私の手を握った。

リ「君のおかげで僕もその他の人も救われると思うよ、その僕が……」

『秘密は守りますよ、ルーピン先生』と私は胸を張って答えると彼は愉快そうに目を細めて笑った。

リ「君は知っていたのかい？」

『はい、なんせ予見者ですから』

私は得意げな笑みを浮かべて、カールがかった頭を照れくさそうに搔くと、また宝物を見つめるような目でルーピン先生は私を見た。

まるで優しいその眼差しは、父親のようなものであった。

と言っても、私に父親の記憶など皆無だけれど。

リ「君は他の子と違って面白い子だね、なんだか不思議だよ」

そういった彼はよく見るように少し屈んで、「ふふふ」と大人びた微笑を洩らした。