四畳半トリップ~《アズカバンの囚人》起~【ハリー･ポッター】 (ページ47)

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ボガードの説明を一通り終えたルーピン先生は、原作通りにネビルと一緒に私たちに最初のお手本を示した。

映画や本で想像することよりも、今この場を目の前にして見る方が何倍も面白く、私は笑顔を浮かべてその光景を眺めていた。

そんな私に引っかかるのはさっきの出来事で、心の底からは笑えていなかったのかもしれない。

それから彼は、皆に一番怖いものをどうやっつけるかを考えさせた。

私の怖いもの────怖いものと言われても漠然としすぎて、私の中にはこれだ、というものが浮かび上がらなかった。

そうしてその初めて心の深淵に潜む怖いものと対面した時、私はどう対処するのか考えれずにいた。

要はもう出たとこ勝負というわけだ。

「みんな、いいかい？」と、ルーピン先生が自分の杖を洋箪笥の取っ手に向けながら言う。

ネビルは腕まくりをし、それを見たルーピン先生は頷いて、先生の杖の先から、火花がほとばしり、取っ手のつまみにあたった。

洋箪笥が勢いよく開き、鉤鼻の恐ろしげな教授が、ネビルに向かって目をぎらつかせながら現われる。

内心それにグッと来ていたが、周りに悟られないようにグッと堪えた。

ネビルはガタガタと震えながらも、声を張り上げた。

ネ「リディクラス！」

パチン！という音がして、お婆さんの服を纏った教授が出来上がり。

みんながお腹を抱えるほど笑い、私も大きく口を開けて大笑いをした。

リ「それじゃあ、次だ────」

そこからは流れ作業でみんなの怖いものが目前に現れて、呪文を唱える。

生徒達が次々と続き、パーバティにディーン、シェーマス、ロン────

そして私へと。

私は一種の緊張を持ちながらも、目前に現れる自分の怖いものに胸を踊らせて、くるくると回っているボガードに杖を向けた。

バチン。

そう大きな音を立ててボガードは私の怖いものへと姿を変えた。

黒く靄がかかっているかと思うと、その靄が段々と晴れていき、丁度私と同じくらいの人影が姿を現す。

その人影はどうやら大量の本を抱えているらしく、腕いっぱいに抱えて、何か驚かせるという訳でもなく、ただ佇立して私の前に立っている。

そうして顔の靄が晴れたかと思うと、私は急に苦しくなって、唇がすくむのを覚えた。

目の前のボガードは、私に姿を変えていた。

それも今の私、そのままの姿で本を大量に抱えている姿、その抱えられている本は、ハリー･ポッターシリーズの本であった。