四畳半トリップ~《アズカバンの囚人》起~【ハリー･ポッター】 (ページ40)

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胴体、後脚、尻尾は馬で、前脚と羽根、そして頭部は巨大な鳥のように見える。

鋼色の残忍な嘴と、大きくギラギラしたオレンジ色の目が、鷲そっくり。

前脚の鉤爪は三十センチもありそうで、見るからに殺傷力がありそうな程である。

それぞれ分厚い革の首輸を付け、それを繋ぐ長い鎖の端をハグリッドの大きな手が全部まとめて握っていた。

ハグリッドはその生き物を先に進ませて、その後ろから駆け足で放牧場に入って来る。

「ドウ、ドウ！」と、ハグリッドが大きくかけ声を掛け、鎖を振るって生き物を生徒たちの立っている柵のほうへと追いやった。

ハグリッドが、生徒の所へやって来て、その生き物を柵に繋いだときは、皆んながあとずさりした。

そんな生徒のことを意に介さず、「ヒッポグリフだ！」と、皆んなに手を振りながら、ハグリッドが嬉しそうに大声を出す。

ハグ「美しかろう」

そういう彼の言葉を私は理解できるような気がした。

半鳥半馬の生き物を見た最初のショックを乗り越えさえすれば、ヒッポグリフの輝くような毛並みが羽から毛へと滑らかに変わっていくさまは、見ごたえがある。

それぞれ一頭ずつが違う色をしていて──── 嵐の空のような灰色、赤銅色、赤ゴマの入った褐色、つやつやした栗毛、漆黒などに彩られている。

ハグ「まず、イッチ番先にヒッポグリフについて知らなければならねえことは、こいつらは誇り高い。絶対、侮辱してはなんねえ」

しかし私の少し後ろではドラコ達が何やらハグリッドの話を聞かず、ヒソヒソと話している声が聞こえた。

私はそれに嫌な予感を感じて、胃を急激に掴まれているような心地さえ感じた。

ハグ「必ずヒッポグリフのほうが先に動くのを待つんだぞ。こいつの鉤爪は痛いからな─────よーし、誰が一番乗りだ？」

答える代わりにみんなが後退りし、私達四人でさえも成功するのが奇跡ではないかと思われた。

ヒッポグリフは、猛々しい首を振り立て、たくましい羽根をばたつかせていて、繋がれていることが気に入らない様子である。

「誰もおらんのか？一人じゃなくてもいいぞ」と言ったハグリッドは、訴えるような目をしている。

成功させてやりたい。

そんな思いに駆られた私は心中で懊悩した。

「なら僕らがやるよ」と言ったのはハリーで、その僕らの中には私も含まれているらしく、ハリーはちらりと私の方を見た。

またしても私は''僕ら''という言葉で巻き添えを喰らうらしい。