四畳半トリップ~《アズカバンの囚人》起~【ハリー･ポッター】 (ページ37)

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マ「教えておきますが、シビル・トレローニーは、本校に着任してからというもの、一年に一人の生徒の死を予言してきました。未だ当たってはいません」

私はその言葉を聞きながら、ハリーの顔が晴れるのを待っていた。

マ「私が、あの分野に関しては忍耐強くないということを、皆さんに隠すつもりはありません。真の予言者は滅多に居ません。そしてトレローニー先生は……」

マクゴナガル先生は、再び言葉を切り、ごくあたりまえの調子で言葉を続ける。

マ「二人は見る限り健康です。今日の宿題を免除したりいたしませんからそのつもりで。ただし、もしあなた達が死んだら、提出しなくても結構です」

ハーマイオニーは少し吹き出し、横目で見ていたハリーの顔はいくらか晴れているように見えた。

トレローニー先生の教室の、赤くて仄暗い明かりとぼーっとなりそうな香水から離れてみれば、紅茶の葉の塊ごときに恐れをなすのはかえっておかしいように思える。

しかしみんながみんな、そうであるかと聞かれれば、私は黙ることになる。

なんせロンはまだ心配げに私とハリーを見ていたし、ラベンダー･ブラウンはまだ信じているように見えた。

変身の授業が終わり、私達は騒がしく昼食に向かう生徒たちに混じって大広間へと移動した。

〇

『元気だせって、ロン』と私はシチューの大皿をロンの方に押しながら言った。

『マクゴナガル先生の話、聞いてただろ？』

ロンは、シチューを自分の小皿に取り分け、フォークを手にしたが、口をつけない。

「A、ハリー」とロンは低い深刻な声で私とハリーに呼び掛けた。

ロ「君ら、どこかで黒い犬を見かけやしなかったよね」

『私は見てない』と言った私の後にハリーは「うん、見たよ」とサラリと答えた。

ハ「ダーズリー家のところから逃げた夜、見たよ」

ロンのフォークが、音を立てて下へ落ちる。

「たぶん野良犬よ」と言ったハーマイオニーは、落ち着き払って宥めるように急いで言った。

ロ「グリムを見たなら、それは……それは良くないよ。ぼくのビリウス伯父さんがあれを見たんだ。そしたら……そしたら二十四時間後に死んじゃったんだ！」

「偶然よ！」と言ってのけたハーマイオニーにロンは気が触れたのかという顔をしていた。

どちらかと言えばロンの方が気が触れたのではないかと言いたかったが、流石の私も黙ってその場を流した。

そうして話に耳を傾けることに努めた。