四畳半トリップ~《アズカバンの囚人》起~【ハリー･ポッター】 (ページ29)

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リーマス･ルーピン先生とハグリッドを紹介した校長に僕らの心はそこばかりに囚われていた。

特に僕が囚われたのはスネイプのあの目。

スネイプはルーピン先生が紹介されると席の向こう側からルーピン先生を睨んでいた。

スネイプが、''闇の魔法に対する防衛術''の席を狙っているということは皆んなが知っていること。

頬のこけた土気色の顔を歪めているスネイプの今の表情には、スネイプを警戒している僕もドキリとするものがあった。

怒りを通り越して────憎しみの表情。

お馴染みのあの表情。

スネイプが僕を見るときの目付きそのもの。

「よくAはスネイプのこと好きだよな」とロンは静かに耳打ちをした。

ロ「去年だって、学年最後の宴の最中、スネイプから井戸に突き落とされたって」

「僕も思うよ」と小さく呟いた。

僕ならスネイプよりもルーピン先生の方がいい気がする、なんてことは言えるはずもなかった。

コンパートメントでルーピン先生を見つめていたAの目には少なくともそんな感情が混じっているような気がしてならなかったのだから。

「にしても」と切り出したハーマイオニーは大広間の扉の方ばかり目をやっている。

ハー「遅いわね」

ロ「凄い剣幕だったもの、どうせ静かな廊下で説教でもされてるんだ」

ヒソヒソと耳打ちをする僕ら三人を置いてけぼりにするように校長の話は親任教師からディメンターへと話が変わっていく。

ダ「もう一つ君たちに深刻な問題を伝えなければならん。ご馳走で気が抜ける前に片付けた方が良かろう」

ダンブルドア校長は、咳払いしてから言葉を続けた。

ダ「ホグワーツ特急での捜査があったから、皆んなも知っての通り、我が校は、ただいまアズカバンのディメンターたちを受け入れておる。魔法省の用向きでここに来ておるのじゃ」

ダンブルドア校長は、言葉を切る。

ウィーズリーおじさんが言ったことを思い出した。

ディメンターが学校を警備することを、ダンブルドア校長は快く思っていないということを頭の中で再生していた。

ざわざわざわっと林がゆれるようにざわめきが走り、となりあったもの同士、てんでなさんざめきが起きる。

口々にディメンターのことが交わされ、僕は居心地の悪い思いが胸の中にじわじわと広がった。

ダ「無論、シリウス･ブラックが捕まるまでじゃ」

その時、重々しく閉じられた大広間の戸が低い音を持って開け放たれた。

そうして大広間に入ってきたのは、フェレットであった。