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トリップ三年目にして私は初めて紅色の機関車、ホグワーツ特急が煙を吐いているのを目を輝かせてみていた。
その煙の下で、プラットフォームいっぱいに溢れた魔女や魔法使いが、子どもたちを見送り、列車に乗せている。
ウィーズリー家の残りの皆んなとハーマイオニーが到着したところで、ウィーズリーおじさんが先頭に立って後部車両のほうに歩いて行く。
満員のコンパートメントを通り過ぎ、ほとんど誰も居ない座席を見付けた。
汽車に乗りこもうとすると、後ろからアーサーさんに呼び止められる。
ア「A、ハリー。ちょっとこっちへおいで」
私とハリーは顔を見合わせ、アーサーさんについて柱の陰に入った。
「君が出発する前に、どうしても言っておかなければならないことがある……」と言ったアーサーさんの声は、緊張している。
ハ「僕達、知ってます。ウィーズリーさん、いいんです」
ハリーが言うと、アーサーさんは拍子抜けしたようだった。
アー「知っている？ どうしてまた？」
「あの……おじさんとおばさんが昨日の夜……話しているのを聞こえてしまったんです」と言って、それからハリーは慌てて付け加えた。
ハ「ごめんなさい」
アー「できることなら、君達にそんな知らせ方をしたくはなかった」
いかにも気がかりな言い草である。
ハ「いいえ───これで良かったんです。これで、おじさんはファッジ大臣との約束を破らずに済むし、ぼくらは何が起こっているのかがわかったんですから」
「アーサー！」と、モリーさんが呼んでいた。
おばさんは、羊飼いが群れを追うように、皆んなを列車に追い込んでいる。
「モリー、二人はいま行くよ！」と言いながら、アーサーさんはもう一度私達のほうに向き直り、声を一層低くして、急いでこう言った。
アー「自分からは探し出したりしないと誓ってくれ、君たちがたとえ────何かを聞いたとしても」
「アーサー、早く！」と、モリーさんが叫び、私は瞬時に列車の方を振り返って見た。
列車は、シューッと煙を吐き、動き出し始めている。
私達は慌てて駆け出して、ロンが開けたドアに飛び込んだ。
ロンがハリーを、ハーマイオニーが私を抱きとめる。
私達はそのままウィーズリー夫妻が見えなくなるまで手を振り続けた。
汽車がスピードをあげ始めると、ハリーは切り出した。
ハ「君達だけに話したいことがあるんだ」
ハーマイオニーとロンは顔を見合わせて、それから私達に向かって頷いた。
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年5月8日 17時
