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『やあ、三人とも！』と明るい声を響かせて、椅子に腰を下ろして、逃げ出そうとするフェレットを両手で柔らかく捕まえた。
ハ「久しぶり、A」
「おい、見たぜ」と言ったロンは少し前のめりに私に近づいた。
ロ「学会の記事、日刊予言者新聞に載ってたやつ」
ハー「あれは、本当なの？」
矢継ぎ早に質問を受けながら、私はここ夏休みのことを楽しげに話して、会話の輪を広く広げていった。
話を聞くと、三人はこれから魔法動物ペットショップに向かうとこらしい。
ロンの鼠がエジプトから帰って以来、体調が悪いと言うのだ────ことの真相は言わずもがな。
ペットショップで用事を済ませた後、ハーマイオニーはスキャバーズを殺しかけたクルックシャンクスを買った。
おかげで、ロンはご立腹────というのはお馴染みだろう。
赤味がかったオレンジ色の毛がたっぷりとしてフワフワで、どう見てもちょっとガニマタ。
気難しそうな顔がおかしな具合につぶれていて、まるで、レンガの壁に正面衝突したみたい。
スキャバーズは、隠れていて見えなかったので、猫はハーマイオニーの腕の中で、満足げにゴロゴロ甘え声を出していた。
ロ「そんな化物、普通買うか？」
ハー「あら、化物なんかじゃないわ！この子こんなに可愛いのに、誰も今まで買わなかったんですって…」
ロ「そりゃ、不思議だね」
ロンが皮肉っぽく言うのに、私とハリーはくすっと笑った。
そうしてクルクシャンクスは怪しげに目を細めて肩にいたフェレットをじっと睨みつけていた。
その睨みつけられていた当の本人は気だるげに冷淡に猫を見下ろしている。
結局、私達は漏れ鍋に足を運んだ。
バーカウンターの前に座っている男性が日刊予言者新聞を読んでいる。アーサーさんだろう。
「ハリー！ A！」と、ウィーズリーおじさんが目を上げて笑い掛けた。
アー「元気かね？」
それに返事と挨拶を簡単に済ませて、先程の買い物でどっさりと買った荷物を抱えて、私達はアーサーさんの傍らに座った。
アーサーさんが下に置いた新聞から、もうおなじみになったシリウス・ブラックの顔が私をじっと見上げている。
ハリーは少し憚る様な仕草をしてから、また新聞に掲載されているシリウス・ブラックを見ていた。
『別に気にしないよ』と私は頬杖をついて、膝の上にいたフェレットの毛並みを柔らかく撫でて言った。
『別に私はその人のことを知らないんだもの、覚えてないし、記憶もない』
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年5月8日 17時
