四畳半トリップ~《秘密の部屋》結~【ハリー･ポッター】 (ページ24)

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私はカラッとした軽快な笑顔をハリーの方に向けた。

『勝てるぞ、ハリー』

その言葉にリドルの顔が顰められ、逆にハリーの顔は自信に満ちたように希望を放って口角をあげる。

ハ「君が言うなら、僕は信じるよ、A」

『いいよハリー、どんと構えて信じてろ』と私は挑戦的な笑みを浮かべた。

しかし、形勢は私とハリーの方が不利であると確信を得ていたリドルは、悠然と話し出した。

ト「ハリー、君はどうやって僕から生き延びたか聞こう」

ハリーが答えるなら明らかに早く言った方がいいに違いない。

こうもしているうちにジニーはますます弱っていき、リドルの輪郭がはっきり、しっかりしてきている。

それを感じ取ったハリーは勇気を宿して、一気に話し出した。

ハ「僕が何故死ななかったのかは分からない。僕は母親に守られた。マグル生まれの母親だ！」

リドルの表情が微妙に強ばる。

ハ「そして僕は去年、君の落ちぶれた姿を見た。逃げ隠れ、醜くて、汚らわしい残骸だ！」

リドルはぞっとするような、無理やり作った笑みを浮かべた。

リ「そうか───では、君は何の才能もなかった。ただ母親に守られただけの子供。僕から生き逃れたのはただの幸運」

私とハリーは身構えた。

今にも、彼が杖を振ると思ったのだ。

しかし、彼は歪んだ微笑みを広げると言った。

リ「さて、お手合せを願おうか。ハリー･ポッター、A･ブラック」

そして彼はついにその蛇語を口にした。

スリザリンの巨大な石の顔が動く。

石像の口がだんだん広がって行き、ついに大きな黒い穴になるまでを見ていた。

何かが、石像の口の中でうごめき、何かが、奥のほうからズルズルと這い出している。

私とハリーは目を固く閉じて、互いに手で探し合い、仄かに触れた手を掴み取り、固く握りしめた。

何か巨大なものが部屋の石の床に落ち、床の振動が伝わってきた。

何が起こっているのか、私にはわかっていた。

感覚でも分かる。

巨大な蛇がスリザリン像の口から出て来て、とぐろを解いているのが目に見えるような気がした。

バジリスクが、確実に私とハリー近づいて来ていた。

埃っぽい床をずっしりとした胴体が滑る音が聴こえる。

その音はまるで恐ろしげな死の音で、寿命が削られているような殺伐とした雰囲気の中で反響する。

私とハリーは固く手を繋いだまま、壁伝いで走り出す。

しかしバジリスクの這う音はすぐそこまで迫っていた。