手記弐拾漆頁目 ページ29
『はぁ……はぁ……ふぅ。』
走ってきた事で途切れ途切れになってしまった呼吸を整える。
朝からなんだか可笑しい。記憶も曖昧で、頭がグチャグチャだ。
顔を冷たい水で清めよう、と桶を持って井戸を覗き込む。
普通ならそのままそっくりな自分が水面に写る筈なのに、水面に写った自分は何故か不思議な服装をしていた。
男子が着る学生服のような着物の上に黄色と桃色が混ざりあったような丈の長い羽織を羽織っている。
服装はまるで違うのに顔は私のまんまだった。
【ーー!ーー!】
水面に写る自分は、必死に私に訴えかけるように何かを叫んでいた。
何を叫んでいるのか気になって、水面にそっと顔を近づけると水の中へとぐんっと引き摺りこまれた。
井戸に引き摺りこまれた筈なのに、私ともう一人の私が沈んでいる水中は海のように広かった。
【起きて!危険が迫ってるわ!】
目の前のもう一人の私は、私の肩を力強く掴んでそう訴えかける。
『どういうこと?何も危険なんて無いわよ?』
目の前の私は、目を見開いて悲しそうな顔をすると叫ぶのではなく私の頭を抱えて囁くように言った。
【辛いだろうけど思い出して……祭のあとを……あの紅を……】
その言葉を聞いたと同時に意識が深い海に沈んでいった。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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