かけだしアイドルの成長譚

第1話 憧れ ページ2

「ひなた！おはよう！ねえねえ、昨日のプリパラTVみた！？」

私が眠い目を擦りながら教室に入ると、待ち構えていたように星が鉄砲のような勢いで私に向かって走ってきた。

「わっ！？ちょっ、星、落ち着いて。」

「落ち着けないよっ！だってだって、ももあ様が、あの花の女王(フローラ・クイーン)が出てたんだよ！？」

「もちろん見たよ。すごかったよねぇ…さすがももあ様！」

あ、ももあ様っていうのは、今1番人気のアイドル。
花の女王(フローラ・クイーン)って呼ばれてる、とてもクールなアイドルなんだ。

称号は〈ミューズ〉と〈歌姫〉。
称号っていうのは、すごいアイドルに贈られる二つ名みたいなもの。
オリンピックでいうメダルみたいなもの…ちょっと違うかな？
まぁとにかく、人気である証みたいなものなの！

称号は1つもっているだけでもすごいのに、ももあ様は2つも持ってるんだ。
正真正銘の天才だよね。

そしてなんと！
この2つの称号は、伝説の神アイドル、セインツの3人が貰ったものと同じなんだ！
称号の中でも貰うのが難しいと言われている〈ミューズ〉と〈歌姫〉を持っているのは、両方とも現在ではももあ様1人だけ。

ももあ様はこの2つの称号と、非公式の花の女王(フローラ・クイーン)という呼び名を合わせて、3つも二つ名があるんだからすごいよねぇ…


そんなももあ様はみんなの憧れの的なの！
もちろん私と星も憧れてるんだ！
あ、星は私の親友だよ。さっきすごい勢いで走ってきた人。

「おはようございます〜ひなたさん。」

「おはよう、古都花。」

「おはよ、古都花。古都花は見た？昨日のプリパラTV！」

「残念ながら、昨日はお家のお手伝いが忙しくてまだ見れてないんです〜でも録画したので、後で絶対見ます〜！」

古都花は私のもう1人の親友。家が旅館で、古都花は看板娘なんだ。

「そっかーほんとにすごかったよ！なんかこう、ドーン！ババーン！！キラキラ〜！！！って感じで！」

「そ、そうなんですか？ドーン、ババーン、キラキラ〜…？」

相変わらず星の表現はよくわからない…古都花が困ってる。ここは私がちゃんとあのすごさを伝えなきゃ！

「そうそう、すごかった！ほわわぁーん、ひゅわわぁーん、キラキラ〜！って感じ！」

「…よけいにわからなくなりましたけど、とりあえずキラキラしててすごかったってことはわかりました〜」

あれぇ…上手く伝わらなかったのかな？

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