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side 紫
あの日の阿部ちゃんの言葉を聞いた照は、
おばあさんの家に連絡して、予定を立てて。
今日から、泊りがけで遊びに行くんだって。
照もだけど、阿部ちゃんも久しぶりらしくて、
おばあさんも、とても楽しみにしているみたい。
数日前から準備していた荷物を、
照の車に積み込んでいる２人。
深澤「おはよ」
階段を下りていって声をかけると、
ビックリした丸い目が、こっちを向いた。
阿部「ふっかさん、おはよう」
岩本「ふっか、起きてくれたの？」
深澤「いや、今から寝るところ」
おばあさんの家が少し遠いから、
朝早い時間に出発すると聞いていて。
見送りもないのは寂しいかなと思ったけど、
そんな早い時間に起きられる自信もなくて。
せっかくだからと、徹夜でゲームをしていた。
照には『ほどほどにしろよ』って言われたけど、
阿部ちゃんの嬉しそうな顔が見られたからいいや。
深澤「もう、準備は終わったの？」
阿部「うん、バッチリ！」
顔の前でOKマークを作って、ニッコリ笑う。
隣にいる照は、対照的に心配そうな顔。
岩本「亮平、やっぱり俺も薬持っていくよ」
阿部「えー、カバンに入れた分で、大丈夫だってば」
準備のときにも聞いたけど、まだ言ってたのか。
阿部ちゃんが毎日飲んでいる薬を、
きちんとカバンに入れたのは確認したし。
何かあったら困るからって、多めに入れたのも見た。
それでも、普段と違う環境に行くのが心配らしく、
照は、自分のカバンにも入れていこうって言っている。
深澤「そんなにたくさん持って行ったって、
いくらでも飲んでいいわけじゃないんだしさ」
岩本「それは、そうだけど……」
当たり前だけど、規定量以上に飲んでいいわけじゃないし。
深澤「具合悪くなったら、帰ってくるんだろ？」
２人して、シュンとした顔で頷くから、
照の肩と、阿部ちゃんの頭をポンポンとして。
深澤「大丈夫だって、楽しんできな｣
２人の背中を押して、送り出した。
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作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
