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拾漆──にげら ページ17

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 月日は流れ、半年後、Aは恐ろしい成長を見せていた。村田と比較するならば、体力や筋力は劣るものの剣技の才能の差ははっきりとついている。今日もAと村田の一戦はAの勝ちに終わった。
「はあ、はあ、ありがとう、ございました」
「ありがとうございました……。Aさ、毎回戦うたびに、っていうか戦っている間にも強くなってない?」
「それはいい指摘だぞポンコツ」
 寧時だ。縁側に座って二人の戦いを見ていた。
「Aちゃんはお前と戦ってる間に、自分がやられそうになった技をどんどん吸収してる。さっきお前は真正面に木刀を振りおろすと見せかけて体をひねって、わき腹に叩きこもうとしたな。Aちゃんはその技を盗んで、すぐに実践した。そしてお前が負けた。自分の技で負けたんだな」
「くっそー、なんだよそれ! 天才か!」
 村田が地団太を踏むが、寧時は真顔で肯定した。
「あの、私、そんな強く、ないです、はあ」
「そうだな、まだまだ完璧にはほど遠い」
 そう言って寧時は改善点を伝えた。体力や筋力がたりないこと。足の動かし方がぎこちないこと。場所を広く使えていないこと……。Aは「留意します」とうなずいた。


 次の日、突然寧時が言った。
「呼吸を教える」
「呼吸、ですか?」
「ああ。呼吸を身につけると、一気に強くなれる。まあもちろん、身につけるのは簡単じゃねえけどな」
寧時は挑戦的に腕を組んでAを見さげる。やるか? そう眉で問いかけると、やります! 目を輝かせてAはうなずいた。
「教えてください!」
「よーうし、その意義だ! やるぞ!」
「はい!」
 まず教わるのは全集中の呼吸。肺を大きく広げて通常よりたくさんの酸素を血管に流し、筋肉を一時的に強化させるのだ。村田はすでにこれを習得しており、次の段階に向かっている。水の呼吸だ。あの日、Aが家を飛びだして寧時と出会った日、確かに見た水の流れ。十の型があり、それらを戦況に合わせて使うことでよりいっそう力を出し、鬼の頸を斬る決定打とするのだ。
「大きく息を吸え。……違う、それはただの深呼吸だろ」
「え、ええ……」
 Aは深呼吸と全集中の呼吸の違いの理解に苦しんだ。やはりこれは一筋縄ではいかない。この日は収穫なく終わった。


ニゲラ──ひそかな喜び、困惑、不屈の精神

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設定タグ:鬼滅の刃 , 錆兎 , 長編   
作品ジャンル:恋愛
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Rabbita(プロフ) - 海月さん» 応援ありがとうございます……! そう言っていただけて嬉しいです。ゆっくりではありますが、すこしずつ本編へ入っていきます。よろしくお願いいたします! (2022年1月2日 10時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
海月 - 早く続きが読める事を待ちます!!早く本編が読みたいです。 (2021年8月14日 15時) (レス) id: 7d61b31363 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - 蓬莱寺さん» そのとおりですね。ご指摘ありがとうございます、ただいま修正いたします。 (2021年5月11日 8時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 原作沿いはとった方が良いですよ。原作にも足を突っ込んでいないのだから。 (2021年5月11日 7時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - 蓬莱寺さん» 大変失礼いたしました。参拾玖で錆兎と出会い、肆拾弐から本格的に登場します。現段階では原作は開始しておりませんので、できるだけ早くタグどおりになりますよう尽力いたします。申し訳ございませんでした。 (2021年4月12日 18時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rabbita | 作成日時:2021年3月11日 16時

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