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漆拾壱──すとれぷとかーぱす ページ26

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 真菰はめずらしくまじめな顔をしていた。
「錆兎って、なにかと責任感が強くてかっこつけてる性格でしょ。今みたいにくよくよしてていいの?」
 ずっぷり、その言葉は錆兎の心に深く刺さった。義勇と話しているとき、自分はどんなことを言った? どんな指摘をした? 自分は今までどんな性格だった?
「……泣くんじゃない」
ぽとり、こぼれた涙は袴に丸いシミをつくる。この二年半で服はずいぶん汚れたようだ。
「弱音をはくな」
ぽとり、ぽとり。堰をきったように次々とシミは増えていく。
「見苦しい、下を向くな」
ばっ、錆兎はうでを両目に押しあて、涙を吸わせた。そうして上げた顔はさっきまでとはまったくちがう、覚悟を決めたものだ。
「──男なら!」
 錆兎はいきおいをつけて立ちあがった。横に置いてあった刀を手にとる。
 いつのまにか自分はこんなところまで落っこちてしまっていた。何年ぶりだろう、ひさしぶりのこの重量。柄をにぎる。白の片手巻きがよく手になじむわけは、物がいいからだけなのだろうか。
 純白の鞘、金の唐草の装飾。金の鍔に彫られた唐草。金の鎺。そして、そこからおもむろに姿を現した濃い青。そのすべてがなつかしかった、そのすべてが愛しかった。
「水の呼吸・壱ノ型」
 ざざざざざ、広がる海面が揺れる。錆兎は刀をにぎる両手に力をこめ、重い水を持ちあげて──
「え」
 真菰がぽかんと口を開けた。すこし遅れて、かたん、ちゃり。刀が地面に落ちた。
「……はあ、はあ、っは、ああ」
 錆兎はひざをついた。すこし遅れて、びきびきびき。内蔵と筋肉が暴れるような激痛に襲われた。
「ああああああああああ!!!」
「錆兎! しっかりして!」
 意識は荒い息とともに吐きだされてしまった。


ストレプトカーパス──このささやきに耳をかたむけて、清純な愛、主張、信頼に応える、真実

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設定タグ:鬼滅の刃 , 錆兎 , 長編   
作品ジャンル:恋愛
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Rabbita(プロフ) - kokonaさん» とてもうれしいです、ありがとうございます。一ヶ月に一度の更新をつづけていけるように尽力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。 (2023年4月13日 2時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - 投稿楽しみにしていました! (2023年4月8日 12時) (レス) @page39 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます。 (2022年12月19日 19時) (レス) @page36 id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - よかったです!これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月22日 18時) (レス) @page35 id: bc17a1db16 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ご心配ありがとうございます、ただいま更新させていただきました。「待ってます」とのお言葉に本当に救われました。不定期ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。 (2022年10月16日 15時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rabbita | 作成日時:2022年1月1日 19時

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