日暮れが来るまでの時間。 ページ7
____嗚呼、そういえば子供の名前は決まったのかい?
そう言うと、彼女はパアァと華やかな笑顔でほころぶ。
____「はい、子供の名前はAにしようと思ってるんです!いやぁ、我ながらいい名前だと……って、お館様なのについうっかり軽い口調になってしまった!すみませんお館様あああ!」
わたわたしたように叫ぶ彼女に私はふふふ、と笑う。
明るく優しい彼女なら、きっと良いお母さんになれるだろう。
彼女も彼女の将来も楽しみだ。
_____『今日は、数年前鬼殺隊を辞めた水柱様からの遺言書を届けに来ました』
時が動く。
彼女が柱をやめてもう数年も経った頃だった。柱会議中に現れた者が手紙を読む。
__家が鬼に襲われAは無事だったものの、夫はすでに亡くなってしまいました。
__私は、その時鬼に襲われ、自身も鬼になってしまったのです。
もう何もかも、なくなってしまったんだね。と思った。
彼女からの手紙はとうの昔にこなくなったが、今頃ほどこかで幸せに暮らしているだろうと思っていた。
あれ程未来に希望と夢を抱いていた彼女を考えると胸が苦しい。
声がとまる。どうやら遺言書は読み終えたらしい。手紙を読んでくれた者の顔をみようと、顔を上げる。
………嗚呼…
酷く似ていた。彼女に。表情豊かな彼女とは違い、淡々と冷静で無表情ではあったが。
彼女の娘だと、Aだと、分かった。
義勇の家にAをおくよう頼む。
Aと話がしたかった。
彼女が大切に思っていたAが幸せなのかが知りたかった。
.
「天元様ぁあ!!!いませんAちゃん何処にも!!」
「お力になれずすみません……」
「あー分かった。お前らもあんま気にすんな、アイツの頭じゃあ俺らの行動も読めてんだろ」
日が暮れていき、焦りがうまれる。もうじき任務へいかなければならない。
その間にもAは遠くへいくだろう。俺の手の届かないところに。
そして、撒かれたら最後、二度とアイツは俺に会わないだろう。
___『やあやぁ、どうも、ど派手くん』
______『だって君。
何だかんだ言って優しいじゃん。』
ギリッと歯切りする。嗚呼、もうこうなったのもこの感情も全てお前のせいだ。
「須磨!雛鶴!まきを!」
「わりぃがお前ら日暮れまでもう少し協力しろ!
あれでお別れなんてさせねぇよ!!!」
現実なんてそんなもん。→←嗚呼、そうだ。爆弾と山を買おう。←
81人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひいらぎ・いろ - 小冬さん» ありがとうございます、いつも小説を書く度に面白いか凄い不安になって、、そう言ってもらえて凄く凄く励まされます!これからも頑張ります! (2021年5月2日 7時) (レス) id: 3d1bfbcbe7 (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっっても、面白かったです!!もう、夢主の反応とかがめっちゃ面白くていつも思い出して笑っています!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月1日 23時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - S_t0606さん» コメントがきたことにはしゃぐ人間はこの世にはいます。(ありがとうございます!)なるほど、、確かに夢主よく宇髄さんといますから、、もしかしたら、、? (2020年11月29日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
S_t0606(プロフ) - 宇髄さん宇髄さん宇髄天元様で落ちお願いします (2020年11月29日 17時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - 氷華さん» まさか続編にいけるとは、、(←亀更新人間)こちらこそ、よろしくお願いします! (2020年11月14日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年11月13日 0時