シリアスを壊しにきみに会いに行く。 ページ3
『そうだよ。お隣さん、私は何度も言ったでしょう。人殺しだと』
いつだって優しいAちゃんの声が脳裏に飽和する。
あなたはいつだって優しい。
はじめて、あった、あの日だって。
「……A、ちゃん」
.
とんっ、と冨岡は軽やかに地面につく。目の前には大きなまでとはいかないが、それでもかなりの大きさの屋敷がある。
『そういえば冨岡さんの家に来るのは初めてですかね』
「…そうだな」
ガラガラと戸を開きすたすたと歩く冨岡の後ろをAも歩く。
屋敷の中は質素でまさに必要なものだけをおいた部屋だった。
その中でも冨岡は一番奥にある部屋にAを案内する。
「ここの部屋、あまり使うことがないから好きにしろ」
『お気遣いありがとう。じゃあお言葉に甘えてのんびりさせてもらいましょうか』
言うが早いか、Aは最早先程の事が嘘かのように寛ぐような感じぶりでそこに敷いてある布団で寝た。
何も、なかったように。
暗く暗く視界は閉ざされていった。
.
「……………人殺し、か」
ポツリと宇髄は呟いた。後ろではお隣がぼうっと座ってる。
暫しの沈黙だった。お館様も、他の柱も、誰も彼も、何も、言わなかった。
そのまま、この長い長い時間が過ぎようとした、その時。
「だああああああぁああああああ!!!!!」
怒りの籠もったような怒鳴り声で宇髄は叫ぶ。頭を強く掻きむしったからか飾りがとれ、宇髄の髪が露わになる。
「あれこれ考えんのはやめだ、やめ!!!んな、地味なこと俺らしくねぇんだよ!!」
言うが早いかぐるんっと勢いよく宇髄はお隣の方を振り返ると振り返り、また叫ぶ。
「おい、お隣ぃ!!!!!!」
急な大声にお隣はびくりと肩を鳴らす。
「俺は…自分であいつのところに行くって決めた。お前も決めろ、自分自身で、どうするのか」
___じゃあ俺は先に行かせてもらうわ。
にやりと笑った気がしたと思えば、辺りには煙幕。
展開が、早すぎて、頭がまだ追いつかなかったけどぉ……それでも、頭は冷静になれたの。
そして、Aちゃんが着ていた羽織りが落ちているのを見つけて、それを拾ったのぉ。
ねぇ、Aちゃん。
私、わたしねぇ。
答えはもう、決まってたの、昔から。
ずっとずっと、言うのが怖かったの。
言ったらあなたが遠くに行ってしまう気がして。
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ひいらぎ・いろ - 小冬さん» ありがとうございます、いつも小説を書く度に面白いか凄い不安になって、、そう言ってもらえて凄く凄く励まされます!これからも頑張ります! (2021年5月2日 7時) (レス) id: 3d1bfbcbe7 (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっっても、面白かったです!!もう、夢主の反応とかがめっちゃ面白くていつも思い出して笑っています!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月1日 23時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - S_t0606さん» コメントがきたことにはしゃぐ人間はこの世にはいます。(ありがとうございます!)なるほど、、確かに夢主よく宇髄さんといますから、、もしかしたら、、? (2020年11月29日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
S_t0606(プロフ) - 宇髄さん宇髄さん宇髄天元様で落ちお願いします (2020年11月29日 17時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - 氷華さん» まさか続編にいけるとは、、(←亀更新人間)こちらこそ、よろしくお願いします! (2020年11月14日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年11月13日 0時