幸せが溢れていく。それでもいつかは。 ページ15
お昼休みに外のベンチでお弁当を食べていたら、二階のベランダからAの姿が見えたせいで思わず呟く。
「あ、A」
するとその小さな声でも耳の良いAは拾い上げ、こちらを見つめる。
『やあ、昆布くん』
そして飛び降りる。←一切の迷いのない一般人
は、と時透の口から困惑と驚きの声が漏れ冷や汗までかく始末だ。Aはそのまま落ちて、柔らかい草の生えた場所にふわりとおちる。
『それ程高さのない二階でしかも下が柔らかい草なら落ちても無傷だからね』←※注意マネすると危険
「ねぇ馬鹿なの?前世と変わらないんだけど…
しかも僕も今世じゃ鬼殺隊の時みたいにAを助けられないからね!!」
焦るような呆れるようなよく分からない感情が右往左往し時透は溜息をつく。そんな時透を見てAは微笑む。
『まあ、助けられるか助けられないかはどうでもいいんですよ。私は、その気持ちが嬉しいからね』
それに、とAは笑う。
『もう鬼殺隊だった頃の強さなんて要らなくなったから、もう良いんだよ』
人を殺し血塗れた人ならざる鬼はもういない。平和な世で平穏に暮らし幸せに生きることが当たり前のようにできる。
幸せだよ、とAは笑った。
*
A!!
Aちゃん!!
Aさん!!
一切の光のない暗闇の中から様々な声が重なる。誰かが自分を呼んでいる気がする。強く誰かに呼び寄せられる。
ゆっくりと、目を開ける。光が差し込んでくる。
「Aさん!!!!」
目が合う。泣きそうな顔をした女性だ。天元様を呼んできます""!!!と鼻水を垂らしぐでんぐでんに泣いた顔で部屋を出ていく。
暫くして入って来たのは背の高い大男。先程の女性が言っていた"天元様"である。
目が合う。その人は泣きそうな顔で私を見る。道に迷った泣きそうな顔をするものだから私の方が心配になってしまう。
不安になって、なんて言えばいいか考えようとした瞬間、その人が私を強く抱きしめる。
「Aっ‥‥‥」
嗚呼、と思った。大切なんだと。大切に思われているんだと。それなのに、胸はぽっかりと空いてしまったように何も感じなかった。
『君は誰ですか』
本当に本当に大切なものは残るはずなんだ。→←この世で一番誰よりも温かい。
81人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひいらぎ・いろ - 小冬さん» ありがとうございます、いつも小説を書く度に面白いか凄い不安になって、、そう言ってもらえて凄く凄く励まされます!これからも頑張ります! (2021年5月2日 7時) (レス) id: 3d1bfbcbe7 (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっっても、面白かったです!!もう、夢主の反応とかがめっちゃ面白くていつも思い出して笑っています!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月1日 23時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - S_t0606さん» コメントがきたことにはしゃぐ人間はこの世にはいます。(ありがとうございます!)なるほど、、確かに夢主よく宇髄さんといますから、、もしかしたら、、? (2020年11月29日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
S_t0606(プロフ) - 宇髄さん宇髄さん宇髄天元様で落ちお願いします (2020年11月29日 17時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - 氷華さん» まさか続編にいけるとは、、(←亀更新人間)こちらこそ、よろしくお願いします! (2020年11月14日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年11月13日 0時