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「いいじゃん。
別に困らないでしょう」
真衣は事もなさげに言った。
真衣はどんな事でも受け入れてしまう。
俺が突然友人を連れて来ても平気だし、隣の部屋に住む子供だって、簡単に預かってしまう。
そういう懐の深さは魅力の1つだが、一緒に生活していると、困る事の方が多い。
「困る困らないの問題じゃなくてさ、一体これって、何なの？」
「説明した通りよ」
「あんな説明じゃ理解出来ない。
真衣、いつあの人と親しくなったの？」
「2、3ヶ月前かな。
私、いつも昼休みは公園でお昼を食べてるのよ。
そしたらさ、笹木さんがいつもベンチでぼーっとしてて。
で、いくつか話をするようになって。
すっかり仲良くなっちゃったの」
「昼休みに公園で話すのは自由だけど、だからって、俺たちの家に連れて来ることはないだろう」
「でも私、笹木さんの家には何回も行ったよ。
そのお返し」
「何だよそれ。
あのおじさん、家あるのかよ」
「家っていっても、段ボールで作ったやつね。
中の防寒システムを見せてもらったり、粗大ゴミで拾ったテーブルを運ぶの手伝ったり・・・」
真衣はその時のことを思い出したのか、笑った。
「笹木さんはどう思ってるんだろ。
こんなことさ、なんか勝手に同情してるみたいで失礼じゃね？
大の大人を強引に連れて来てさ。
気弱そうだから断れないだけで、内心困ってるかもしれないぜ」
「いいじゃない、笹木さんがどう思おうと。
同情されて失礼だって思ったら、勝手に出て行くでしょ。
それこそ、大の大人なんだからさ」
真衣の大まかさにはついていけない。
俺はため息を吐いた。
「ほら、もう効果が出たよ」
真衣がパチンと指を鳴らす。
「効果？」
「うん。
1日目にして、効果的面」
「何の効果」
「私たちに決まってるでしょう。
いつも朋也、ベッドに入ったら速攻で寝るじゃない。
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凄い感じ悪いのよね。
でも、今日はこんなに会話した。
うん。
一緒に暮らし始めた頃のようだねえ。
笹木さんのおかげだ」
「何だよ。
こんなの、会話じゃないだろう。
不可解なことを解決しようとしてるだけだし」
「分かった分かった。
私、明日早番だからもう寝るね。
おやすみ」
真衣は話を切り上げると、さっさと布団に潜り込んでしまった。
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作者名：真 | 作成日時：2022年5月22日 15時
