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「おや、そうですか」
「今頃書くのも、ちょっと遅いけど」
今日はもう28日だ。
俺は言い訳するように付け加えながら、パソコンとプリンターをテーブルの上にセットする。
「大丈夫ですよ。
今年中に投函したら、松の内に間に合います」
「松の内？」
「1月7日です。
それまでに着けば、年始の挨拶として受け取ってもらえます」
「へー」
俺は初めて知る事実に感心しつつも、7日に来る年賀状は間が抜けてると思った。
やっぱり年賀状は、3日までには届いてほしい。
年賀状を作成している間、笹木さんは窓を拭いたり、床を拭いたりしていた。
笹木さんだけに掃除させるのも悪いと最初は思ったが、ゆったりしたペースで掃除をしているので、そのうち俺は自分の年賀状作りに没頭していた。
殆どパソコンがやってくれるとはいえ、生徒の分を含めると、かなりの枚数になる。
「随分上手くできるものですね」
一通り掃除を終えたらしく、笹木さんが印刷した年賀状を手に取った。
パソコンで作った干支の絵柄と、毛筆タッチの文字に深く感心して見入っている。
「ありがとうございます。
ま、全員同じ柄に同じ言葉なんですけどね」
俺がそう笑うと、笹木さんは目を丸くした。
「え？
目上の方にも、この年賀状を出されるのですか？」
「は、はい。
そうっすけど・・・何か？」
笹木さんの驚く姿に、俺の方が驚いてしまう。
「目上の方にもですよね？」
「はい」
俺は自分の年賀状をよく見てみる。
干支の絵もシンプルなものだし、別に失礼なことは書いていない。
「これ�犒渊姚瓩箸覆辰討い泙垢諭�
笹木さんは年賀状の文字を指差す。
「はい」
「普通、2文字や1文字の賀詞は目上から目下に使われるものなんです。
�犒渊姚瓩箸��牴貔記瓩箸�」
「え！？
あちゃー。
俺、去年は�瑁鷭姚瓩能个靴討泙靴拭�
俺は慌てて印刷をストップさせる。
プリンターが鈍い音を立てながら、のろのろと動きを止めた。
「あらま、勿体ないことを。
私が余計な事を言ってしまったからですね。
すみません」
「大丈夫です。
まだ先生関係の分は印刷してないから。
いやー、教師なのに恥ずかしい。
本当、全く知りませんでした」
「こんな知識があっても、仕方がないのです。
現に去年、朋也さんは�瑁鷭姚瓩撚貍�を出されても、何もなかったでしょう。
本当に無駄な知識です」
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作者名：真 | 作成日時：2022年5月22日 15時
