11 ページ11
日頃から手入れを怠らないため、手足にムダ毛は一切ない。
「やっぱりこの格好しないと、調子出ないね」
しなを作って微笑む清光。
こうなった彼は無敵だ。
いつもより念入りにアイロンをかけた髪を内に巻き、オイルで艶を出す。
メイクの仕上げをしても物足りないのか、イヤリングを選んでは、ああでもないこうでもないと付け直す。
久しぶりの秘密の花園に、清光がいかにこの時間を待ち侘びていたのかを知った。
「さ、できた。」
私に鏡をみせながら、清光はフフッと笑う。
化粧が薄いからだろうか。
何時もより彼の眼差しが鋭い気がした。
「さすが清光」
「ありがと」
私も自分でメイクをすることはあるが、ここまで目を大きく見せることは出来ない。
いつもは年相応の可愛らしいメイクをしがちだが、今日はグロスの色に合わせ、大人っぽく仕上がっていた。
自分でも、何時もより綺麗に見えるなと思った。
長年私の顔をいじり続けた清光だからこそ、引き立てるべきチャームポイントと、カバーすべきところが分かっているのだ。
彼は雑誌に載っている人気の女優風のメイクを決してしない。
流行を取り入れることはあっても、あくまで私自身の魅力を大切にしてくれる。
やっぱり、清光は凄いな。
鏡を見ながら感心してしまう。
そんな私に、彼は瞳を輝かせながら1歩膝を近づけた。
「真衣、触っても良い？」
「・・・いいよ」
唇を動かすと、巻いた髪がグロスにくっつく。
私をベッドに座らせ、清光は膝立ちのまま太腿に手を乗せてた。
ストッキングを穿いた膝を撫で、指でつま先までのラインをなぞり、声なく微笑む唇がそこに寄せられた。
まるで美女に傅かれているようだ。
私がそっと髪に手を伸ばすと、煙るような瞳がこちらを見上げる。
清光は髪を耳にかけ、膝に唇を寄せると、ふいに腰を上げた。
ベッドに押し倒され、覆い被さるように手をつけば、逆光で表情が隠れてしまう。
揃いのコロンの筈なのに、私とは違う香りがした。
「真衣」
その囁きと共に、清光の手が頬に伸びた。
清光は肘をついて顔を近づける。
身体が重なるが、苦しくはない。
私に負担が掛からないよう、気を遣っているからだ。
その優しさに、身体の緊張が解けるのが分かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：井原 | 作成日時：2023年2月22日 1時
