17話 ページ18
中原side
中原「よお。」
Aはいつも通り本を読んでいた。今日の本は新しいものらしく随分熱中していて俺が入ってきたことに気づいていなかった。
貴方「驚きました。すみません。入ってきたのに気づかなくて。」
Aは本の間に栞を挟み閉じた。俺と太宰がはじめて此奴の部屋に来た時に比べて少し物が多くなった。
Aは誰かが来ると必ずお茶を入れるようになった。
首領に頼んだんだろうな。高そうなティーセットか戸棚にしまわれている。
貴方「お待たせしました。ミルクティーで良かったら飲んでください。」
中原「いつもすまねえな。」
口に含むとお茶のいい香りと優しい甘みが広がる。姐さんにでも教わったのか日に日に腕を上げている。
貴方「今日はどのような??」
中原「首領に頼まれて俺がAに体術を教えることになってな。聞いてたか?」
貴方「はい!数日前に。中也くんのお返事を待っていたんです。」
なんだか嬉しそうにAは答えた。俺が体術を教えるということを嫌がっていなかったことに安心した。
中原「話が早くて助かる。初めて人に物を教えるから上手くできるかわからねえがよろしく頼むぜ。」
貴方「はい!こちらこそよろしくお願いします。」
わざわざ椅子から立ち上がって深々と頭を下げるもんだから慌てて頭をあげさせた。
中原「そんで、いつ始める。俺は言ってくれればいつだって構わねえが。」
貴方「中也くんが良ければ今からお願いしたいのですが...。」
中原「なっ!早速か!?別に俺は構わねえが...。」
早くても明日と思っていた俺が不甲斐ない。新しいことには即挑戦なのか。Aの目は輝いていた。
中原「んじゃまあ、30分後にまた部屋に迎えに来る。着替えて待っててくれ。」
貴方「分かりました!」
部屋を出ていく最後までAを見ていたが、本当に嬉しそうだ。ここまで嬉しそうだと教えがいがありそうだ。
何も考えていなかった俺はあと30分で何から教えるかを考えることとなった。
48人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ