14話 ページ15
中原side
敵組織を壊滅させるという仕事を終わらせて帰ってきた俺は書斎へと向かっていた。
汗と血で汚れた白いシャツが気持ち悪い。
疲労と汚れた服で気分を悪くしている俺に追い打ちをかけるように目の前から機嫌のいい太宰が歩いてくるのが見えた。
中原「チッ」
聞こえるように舌打ちを打った。いつもならムッとした顔で絡んでくる太宰だが、今日はなんだか様子が変だ。
ニヤニヤと気持ち悪い笑顔で俺に近づき太宰は口を開いた。
太宰「やあ中也。お仕事かい?ご苦労様ー!」
中原「なんだ手前。何を企んでやがる!」
太宰が俺に労いの言葉をかける事なんてねえ。機嫌の良さそうな顔にいつもとは違う態度。こいつは何か企んでる。
太宰「何も企んでなんかいないさ。ただ私が今日Aちゃんの初めてをいただいたと言うだけの話さ。」
中「__は??」
初めて、初めて?三宅の初めてってのはなんだ。
__まさか!!!
気づいたら俺は執務室を通り過ぎ、最上階の三宅の部屋へと足を走らせていた。
中原「三宅!!!」
中に入るといつもの椅子に本を片手に座っている三宅。
勢いよく開かれた扉に驚いたようで、大きい目がさらに見開かれていた。
貴方「な、中原さん...?そんなに急いでどうしたんですか?」
中原「手前太宰に初めてを捧げたってぇのはどういうことだ!いつからあいつとできてやがった!」
三宅の肩を掴んで目を見る。本が床にバサリと音を立てて落ちた。
貴方「初めて...ですか?その、言っている意味がよく分からないのですが。」
三宅は困ったよう少し悩んでいた。
中原「手前太宰に初めてを捧げたんじゃねえのか。くそ太宰が腹立つ顔で俺に自慢してきやがったぞ!」
そう言うと三宅はなにか思い出したようであ!と声を上げた。
貴方「ふふ。治くんも人が悪いですね。先程治くんに太宰さんでは無く治と呼んで欲しいと言われまして、私下の名前でお呼びする方が初めてなので...。治くんが言っている初めてというのはこの事ではないでしょうか?」
三宅は俺を困ったように見上げた。
自分の顔に熱が集まるのがわかった。
中原「あ、すまねえ。その、勘違いだ。」
俺は太宰にまんまとはめられたわけだ。
中原「くそ太宰だけが下の名前で呼ばれるのは気に食わねえ。俺の事も中也でいい。」
三宅は自分のことも名前で呼ぶ代わりに中也と呼ぶことを了承してくれた。
あとから太宰にからかわれたのは話すまでもない事だ。
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