11話 ページ12
中原side
太宰が異能を無効化することに成功した。
俺はクソ太宰の考えで最初から囮だったわけでしっかり壁まで飛ばされた。
貴方「カヒュッ」
苦しそうに息を吸う音が聞こえた。
太宰「大丈夫かい?無理をさせてすまなかったね。」
貴方「いっ、いえ...大丈夫、です。あのっ、なか、はらさんは...?」
三宅は苦しそうに呼吸をしながらも俺の心配をしていた。
太宰「蛞蝓ならそっちの壁にめり込んでるよ。気にしなくても大丈夫さ。」
貴方「中原さっ!あた、頭から、血がっ!」
まだ手前の呼吸も上手くできないくせに三宅は俺の心配をした。それだけでなくまだ力の入らないであろう足を立たせ俺の元まで来ようとした。
中原「ばっ!手前大人しくしてやがれ!俺は大丈夫だ。」
重い腰を上げ俺は三宅の元まで歩いていく。頭からコンクリートの破片がパラパラと落ちてきた。
中原「俺の心配より手前の心配しやがれ。」
貴方「すみません。」
太宰「じゃ、こんなとこにいるのも嫌だし。はい、中也Aちゃんおぶってー。」
中原「なンで俺なんだよ!手傷の少ない手前がおぶれ!」
ここで俺が何も言わずに腰を下ろしてやれば格好良かったということを後で思って後悔したのはまた別の話だ。
貴方「あっ、私歩けます!」
よろよろと立ち上がる三宅を見て太宰は俺に蔑みの目を向けた。
中原「チッ」
舌打ちをひとつ。
三宅の前に腰を下ろし
中原「乗れ。」
躊躇いがちに俺の背中に体を預ける三宅。
別に重い訳では無い。重い訳では無いがさっきまで此奴の異能と戦っていた疲労のせいで足がもつれてしまう。
三宅は何度も何度も俺の背中で謝っていた。
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