九世の依頼 ページ8
※「孤独な殺し屋１」の50話の続きになっています。
九世「依頼の内容は、この私九世龍心を殺してほしい」
＿＿＿＿
A「は？何馬鹿なことを言っているの。ふざけないで」
九世「ふざけてなんかないよ」
A「あなたが死んだら、九龍は本当に壊滅するのよ？」
九世「あぁ、分かっている。それが私の願いだよ」
A「なんで、」
九世「それはね、私の友人…いや、君の父親に会うためだよ」
実は、Aの父と九世は昔からの友人であり、小さい頃、Aも九世と一緒に過ごして居た時期があった
そして、他界した父親の代わりでもあったのだ
九世はAのことを本当の娘のように可愛がっていた
そんな中、Aの父親は裏社会の人間に狙われ命を落としてしまう
そこで、Aをその場から逃したのが、九世だった
九世 side
Aはファブルの跡を継ぐために、色々なものを失ってきた。
私がAに初めて会ったのは、2歳の頃だった。そのときにはもう、あとを継ぐことが決まっていたため、Aは厳しい訓練を強いられてきた。
親と触れ合うことも、他人と触れ合うこともできずに、ただひたすら、殺し屋になるために育てられてきた。
私はそんなAを、見ていられなかった。私が親に変わって愛情を注いであげたかった。
だが、Aには私の愛情は届いていなかった。
そもそも、親から愛情を注がれていなかったAは、愛情がどんなものかも知らなかった。だから、私があげた愛情は、Aにとっては得体のしれないもの。
私は、Aを救ってはあげれなかった。
そして、誰からも愛情を受けることなく育っていったAは、悲しいときも嬉しいときも、いつも1人だった。
そんな時、Aの心の支えとなる人が2人現れたが、その2人も、後にこの世を去った。
そしてAは孤独な殺し屋となった。
だが、そんなAにも、守りたいものができた。私はそれがとても嬉しかった。
そして私はこう思った。Aが守りたいものを私も手助けしたい。
私にはもう時間がない。だから、私は、
それが私の、父親としての最後の愛情だと思った。
九世「A、どうかこの願いを受け入れてくれ」
A「…できない」
九世「A、ファブルはお前のことをすごく愛していたよ。跡を継ぐにしても、ただの子供じゃすぐに死んでしまう。だから、ファブルは愛情より生かすことを選んだんだ」
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作者名：サラ | 作成日時：2022年11月26日 7時
