【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

違和感 ページ10

夢を見た。

ひどく昔の、遠い記憶。

なんでいまさら・・・・

なんて思わなかった。

理由など、わかりきっておる。

昨日の、あの鬼の副長に言われた言葉が、
引き金であろう。


今は、もう夕暮れ時だ。

もう、すでに客は目の前におる。

酒をついで、談笑を交わし、舞を見せる。




手際よく禿が引いた２枚の布団。

押し倒されればされるがままで、
はだけた着物も気になどせぬ。



髪が乱れ、赤い紅を引いたわっちの唇と
生臭い男の唇がかさなりあい、

幾度となく舌が絡み合う。

感じたふりも、お手の物。

「ああっ・・・・・・んうっ・・・・
好きィ・・・・っ

好きでありんすっ・・・・・・・」

耳にささやくは
寝屋の戯言。

ふと、吐息の合間に香った煙草の香。

『汚い女』

昨日見た、整った鬼の顔立ちが頭をよぎった。

・・・・・・・胸が、
突然刺されたように痛んだ。

わっちから漏れる吐息が、不自然に消えて。

取り繕った喘ぎ声は、
いつものより数段わざとらしくなって。

失敗してしまった。

今日の男と女の遊び。









・・出来事が終わった後も、
まだ消えないあの男の声。

「汚い」

頭の中を駆け巡る。

数え切れないほど
たくさん言われたこの言葉で

かつてこれほど動揺したことが
あっただろうか。

自分に自分で違和感を持つ。

あの男に会ってから、
まだ一日もたたぬというに、

感情が、自分が少し、おかしい気がする。

一度しか会ってないというに、

ただ一度、怒鳴っただけだというに、


それだけなのに。





・・・・・・・・なぜか忘れられない。

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