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紫と黒 ページ5

わっちは、しばらくぼおっ…と
突ったっていた。


今日は、吉原を貸し切りにされているようだし
そうでなくとも、
出遅れたわっちのところに客は来ぬ。



騒々しい騒ぎに背を向け、
店の中に入ろうと、一歩足を踏み出した。


それと同時。


群れの中からはじき出された影が
わっちを巻き込んで倒れこんだ。

「・・・・・・・っ!?」

[っ…!・」








交錯する、黒い瞳。

重なる黒い隊服と、紫の着物。

気がつくと整った男の面立ちが、
わっちの目の前にあった。

鼻をかすめる、たばこの香り。

男との接触くらい慣れているはずなのに。

これよりも近くで接することのほうが多いのに。

わっちは、なぜか
脳がしびれたような感覚に陥った。







「・・・・・・悪りィ」


でも、それも一瞬で
目をそらした男は何事もなかったかのようにわっちから離れる。

「・・・・・・いや。」


わっちも何事もなかったように返事を返す。

・・・・・真選組の隊服。

それも隊長格かそれ以上。

転んだままで品定めするような
わっちの視線に気づいたのか、

男が無表情のまま口を開いた。


「あんたもここの遊女か。

言っとくが、
俺達ァこんなところの女とは
だれ一人として遊ぶつもりはねェ。

仕事で来てんだよこっちゃァ。

勧誘はお断りだぜ。

お仲間にもそう言っとけ。」



心の底から、うんざりだといった風に。


こんなこと、
よく冷やかしできた奴等に言われる。

「お仲間」

わっちが誘っていなくても、
ひとまとめにされることもある。

だけどなぜか、腹が立った。



・・・・・・もともと、客以外に
愛想がないと陰口を叩かれていたが、

今まで、客ではない人に何をしたわけでも
言ったわけでもない。


ただ、態度がそう見えてしまうだけなのだ。


だが、なぜかわっちは、

客ではないといったこの男に、

平手打ちをくらわしていた。


「いっしょに、しないでおくんなまし。」

それも、冷たく男を見すえたまんまで。

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(プロフ) - まず、設定で私を泣かせに来てます(泣)本当にもう、土方さんの不器用な優しさや、遊女の一途さと言いますか、愛を感じられる描写がとても素晴らしかったです!(泣)もう、泣きましたよ(泣)これからも応援してます!! (2021年9月24日 0時) (レス) @page48 id: 5d43e7b889 (このIDを非表示/違反報告)
らむくん@ヴィル様の旦那さんになりたい人(プロフ) - ピギェェェェェェェェェェ (2021年1月13日 12時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
米狐(プロフ) - 泣けてきた(ノ_<。) (2020年5月1日 17時) (携帯から) (レス) id: 598bb1266d (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - 泣く。 (2019年10月19日 19時) (レス) id: eb01f26c9b (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - ぶっきらぼうだけど、不器用なりにも優しくて格好良い土方さんに感動し、惚れてしまいました。土方さん好きです、最高です、 (2019年10月17日 14時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピアス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b19a32b0a01/  
作成日時:2014年3月8日 17時

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