【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

鬼の副長 ページ6

「俺を殴るたァ…
　いい度胸してやがんな。
　くそ女。

　俺が真選組副長って
　分かっててやってんのか？」



男の、冷たい瞳が、
蔑むような口調の言葉とともに
私に向けられる。






心臓が、ひやりと冷えた。



真選組副長、土方十四郎。


わっちが初めて殴った男の名。


・・・・殺される。
自分のしてしまったことに気付いた時
わっちは、ぼんやりとそう思った。



「鬼の副長」
そのあまりよくない風評は、
わっちも時々耳にしていた。

そのうえ吉原では・・・
ここではわっちは売り物。



売り物が買い手に手を挙げるなど、
逆はあっても許されることではありんせん。

殺されても文句はいえぬ。








・・・・・だけんど。

「何かありましたか！？副長っ」
変な状況を察した一人の隊士が
そう聞いてきたのに、

「・・・・・なんでもねえよ。

おら、とっとと仕事に戻りやがれ。」


なぜか、鬼の副長はそう答えて
追い返したのだ。








…叩いた後のこの人の目は、
間違いなく怒っていたはずなのに。

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