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rd× 大好きやから続10 ページ25

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ソファに腰掛けて刻々と時間が流れる。
コーヒーを淹れて俺の隣に腰掛けた。

「…すみません。ありがとうございます」

「ん、砂糖とミルク、いる?」

いつもミルク多めで、砂糖も入れて。
甘くしないと飲めないコーヒー。
重岡さんはそんなことも知らない。

「…重岡さんは、いつもブラックですね」

「えっ…、あぁ、うん」

「たまに炭酸を飲みますよね。仕事終わりとか」

「…そやけど、それがなに?」

「塩辛いものが好きで、1番はニラが好きですよね。
 お風呂あがりに開けるビールも。
 歌は熱い歌詞が気に入ってるあの曲です。
 服はむかし行ったLIVEのTシャツ。
 最近は淳太さんが教えてくれた靴下買いましたね。
 よく、流星と話してます。
 女子社員からも人気でたくさんお菓子を貰って…
 イライラした日はビールと酎ハイを飲むんです。
 寝落ちしたら必ず寝言を言うんですよ。
 体位は正常位が好きで、キスが好きって聞きました。」

捲し立てるように重岡さんと過ごした日を思い出した。
不思議と涙が出なくて、笑みが溢れてしまうのは
本当に楽しかったからと、本当に好きやからやと思う。

「なあ、神山、どうした?」

「…重岡さんはいくつ俺の好きなもの、言えますか?」

「え?」

「言えないですよね。俺のこと、好きじゃないから」

「待って、お前それ、」

「いいんです。俺が距離を置いたんです。
 いつ捨てられても良いように。
 俺らの関係なんていつでも壊れちゃうじゃないですか。
 最初から俺が好きなだけなんで。どうでもいいんです。」

深く深呼吸をして、まだ湯気を立てているコーヒーを見つめた。
表面に映った俺はなんて情けない顔をしてるんや。
涙を溜めて、口元を歪めて。だっさ。

「だから、…っ、」

  別れましょう

そう告げたくて顔を向けると、静かに涙をこぼして
俺から目を離さない重岡さんがいる。
かっこいい顔が台無しになってソファや自慢のスーツに
涙の跡がいくつもついてしまっている。

「重岡さん、なんで、泣いてるんですか…」

「俺、ともが好きっ…、」

「…何言って」

「ともがバレたくないって言うから、俺恋人おらんって言うて
 飯だって一緒に食いたいけどお前小瀧とかと食うから、
 弁当…嬉しいけど、朝弱いのに起きてくれて、
 …置いて行けばお前が届けてくれたやんか。
 そしたら俺は作ってくれる人がおるんやでって
 見せびらかせるから…、一緒に流れで食えるから、」

「重岡さん…」

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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時

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