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研磨「いきなり話しかけてごめん。これ飲む?」
どうやら孤爪は私が来るのを待っていたらしく
飲み物まで買って用意していてくれたのだ。
私は珍しい人からのお誘いに
しばらくびっくりしたままだった。
"ありがとう。頂くね。"
少しぬるくなった飲み物を受け取り
近くのソファーによいしょと腰をおろす。
孤爪も同様に腰をおろした。
研磨「それ、足痛くないの?
今日も練習中引きずってたでしょ。」
" たまに痛むけど平気だよ。
たくさん動かして早く治さないと"
研磨「強いね。」
視線を足に落とし心配してくれる。
観察力の鋭い孤爪には
足を引きずっていたことは、ばれていたらしい。
それから少しだけ他愛もない会話をしたあと
いきなり無言の時間へと変わる。
元からあまり話したことのない孤爪が
私を話しに誘うとは思えない。
"それで、本題は?"
耐えきれなくなって切り出してしまった。
何か別に話したいことがあるはず。
でなければ、私は腑に落ちない。
研磨「うん、あのさ。単刀直入に聞くね。
もしかしてクロのこと好きだったりする?
もしくは、気になってたりとか。」
黒尾先輩?
喋り出したかと思えば急にそんなことを言う。
" 先輩としてはすごく尊敬してるよ。
あの人いなかったら今ここにはいないし"
" それが好きかどうかって言われたら
多分違うんだと思う。"
これが今の率直な感想だ。
そもそも人を好きになったことがないので
恋人は愚か好きな人すらできたことがない。
これが孤爪の聞きたかった本題か。
" でもなんで?"
正直誰が誰を好きでいようが関係ないかと思っていた。
人の恋愛にも興味なさそうだし。
しかも、孤爪に限って嫉妬とかではない気がする。
研磨「そっか。最近2人仲良いし
一ノ瀬さんってザ・クロのタイプって感じだから
少し気になっただけだよ。」
研磨「あと、クロ好きな人いるからさ。」
そうポツリと呟くと
風邪には気をつけてと一言。
そのまま部屋に戻ってしまった。
なんとなく外の空気を吸いたくて
窓を開けると、まだ少し肌寒い風が
私の頬をビリビリさせる。
「好きな人いるからさ。」
その言葉が頭から離れない。
頭の中で何度もリピートされる。
少し胸がちくっとしたが
私にはまだこの感情の正体がわからない。
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ぴぴ(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます。頑張ります^^ (3月1日 19時) (レス) id: 2e3bf243e3 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (3月1日 18時) (レス) @page17 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2024年2月28日 2時