マリーゴールド

アフォガード ページ29

キャンディーの続編みたいな


＿＿＿＿＿＿＿＿


岸と久しぶりのランチ


いつもはお互い指導員さんと
外出先の近くのラーメン屋か、中華か、立ち食いそばの3択で。


岸の指導員は課長の村上さん
食にあまり関心のない村上さんは、平気で同じ店に１週間連続で連れていくと嘆いていたし、私は私でおじさんサラリーマンに囲まれて食べるランチにも慣れてきた


「こんなとこ岸が知ってるなんて意外」


会社から少し歩いた、裏道に佇むそのお店の店内はいつも私たちが利用するお店とは180度違くて。


綺麗なお皿に、1卓ずつお花も生けてあって
ランチセットにドリンクとサラダが無料で付いてる


「このお店、女子的にはどう？」


「え？あーおしゃれだけど気取ってなくて
コスパもいいし、居心地良いと思うよ？」


「ほうほう」


なんか携帯にメモってるし


「なに？もしかして下見とか？」


「ぶっ」


「もう、最悪(笑)」


口に含んだ水を少し吹いた岸に
おしぼりを渡した
スーツにかかった水を拭き終えた岸を
にやにやしながら見つめると

「なんだよ」

と顔をそらされるから、

「アドバイス欲しいなら、
このランチ奢ってくれたらしてあげてもいいけど？」


なんて言ってみる


「まあ、、付き合ってもらってるわけだから
おごってはやるけど。」


メニューで顔を隠す岸がおかしくて、
くすくす笑っていると、出入口には
扉を開けて女性をレディーファーストで通す
平野さんの姿があった


綺麗な格好で、少し高めのヒールに
丁寧に巻かれた艶のある髪


誰だろうあの綺麗な人は。


その女性に優しく微笑んで、
メニューを渡す姿はやっぱりかっこよくて

なんでこんな人と私が？
よりによって約束は今日の夜


「そういえばさぁ」


メニュー越しの岸がメニューを下げて
私の顔を見てくるから
慌てて視線を戻すと


「こないだ言ってた平野さん？
なんでご飯行くなんてことになってんの？
あの日は逃れたかもしんねえけど、ちゃんと前後を話せよ。廉はしつこいくらいに俺に聞いてくるしさぁ」


そういえば、話の流れで
平野さんにご飯に誘われたことを2人に
打ち明けてしまったばかりに、質問攻めにあったあの夜


なんとかその場は回避したけれど、
鋭い岸の視線が刺さる


「なんでって...電車で痴漢にあって
平野さんが助けてくれて、それから会社でも
顔合わせるようになって、顔見知りになって
そしたらこないだ誘われた だけど向こうは暇つぶしでしょ？」

・→←わたがし

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す