検索窓
今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:95,256 hit

135話 ページ38

急ブレーキで止まると家の前で



腕を引かれたまま96ちゃんの部屋に入った




威厳を保つためなのか腕を組んでこっちをみている


「認められたいってどういうこと?」



「なんでもないよ?」


「嘘だよ!本当のこと言って」



「......承認欲求の塊なんてキモいよね。」



そう言うとポカンとした顔になる



言ってしまいたい



けど、ダメだ



言ったらきっと私はもう人として終わる



自分の評価は人のおかげで上がるものじゃないから





「深い意味はないから」


そう言うと逃げるように自室に戻る


学校に行くような気力すら残っていなかった


ただ自分に宿る承認欲求が気持ち悪くて、


それを友達を利用してまで満たそうとする自分が許せなくて



久しぶりにカミソリを手に取った



もっと強くもっと深く



だんだんと力んできて血が溢れる


なんともいえない快感に、ドMにでもなったのかと錯覚した


数本の線を引き流れ出る血液を見ながら余韻に浸っているとドアがノックされた


「A、おる?」


それは、せーたんの声



会社と歌い手の両立で忙しいはずなのになんで家にいるの?


という疑問を持っている間にドアが開けられた


つまり、血が流れる腕を見られた



しかも、せーたんはトラウマが残ってる


「あっごめん。これはなんでもないから...」


そういってティッシュで傷口をゴシゴシすると腕を掴まれる



「俺のことは気にしんくてええから。今日はどうしたん?」


優しすぎる声にどうしていいかわからなくなる


いっそ責められたら楽なのに



なんて実際責められたら耐えられないくせに




「どうしたん?怒らんから言うてみ?」


優しい声につられ、感情が崩壊しそうになっている


でもなんて言えばいいの?


人気者になりたいって??



みんなみんな有名になるのに比例して人気にもなったけどたくさん辛い思いをした


それなのに言える?


みんなみたいになりたいなんて



.....答えは否だ



「本当になんでもないの。大丈夫」



「じゃあせめて、手当だけでもさせて」


というわけで汚い汚い傷口を手当してもらった


自分で作った傷を手当してもらう



なんだかとても居心地が悪かった

136話→←134話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
576人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 自傷 , 病み
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

龍羽(プロフ) - あいろさん» とても光栄です!ありがとうございます!更新頻度が定期的でない上に遅くて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします (2019年11月2日 16時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)
あいろ - ここまで続きが気になる小説は、初めてです。更新頑張ってください! (2019年11月2日 8時) (レス) id: 7961ad3a74 (このIDを非表示/違反報告)
龍羽(プロフ) - きゆさん» 再度レスありがとうございます!!最後の話の更新が約1年前なんですよね^^;言い訳するわけではないのですが当時とはまた考え方や書き方が異なってくるかもしれません。それでも完結までもっていきたいと思っているので気長にお待ちください笑 (2019年8月29日 22時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)
きゆ - 見てすぐ返してくれてありがとうございました(。・ω・。)どんなに時間がかかっても、完結までお付き合いしますので!無理しないようにリュウさんのペースで進めていって下さいね!夜遅くにすみませんでした。 (2019年8月29日 22時) (レス) id: a065501dc8 (このIDを非表示/違反報告)
龍羽(プロフ) - きゆさん» 感動していただけてとてもうれしいです!更新がんばりますね! (2019年8月29日 22時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リュウ | 作成日時:2018年3月27日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。