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__それは、あまりにも急だった。
「「カウントダウンパーティー?」」
甘い夜を過ごした翌日。昨日のことが夢だったかのように殺伐とした事務所で、今日も幹部会が開かれた。
鶴蝶の言葉に仲良く反応を揃えた幹部共は、全員が顔を歪めている。俺もイヤな予感しかなく、どうかわそうか考え始めていた。
「ああ。来月に敵対してたシカゴの組織が日本でトップの誕生日を祝うパーティーを開く。で、そのパーティーに招待された。」
「はぁ?目的は?俺らのこと潰してぇだけだろ。」
「…それが、俺らの傘下に下る。その契りを交わしたい。とのことだ。」
「…ちょうど俺らが取り込もうとしていたデカい組織、か。おい、ちょっと話が美味すぎねぇか?」
「つーか、傘下に下んならそっちから出向くのが筋だろーが。」
……まぁ9割梵天潰しが本命だろうが、もし本意ならばここまで美味い話はない。
そして、ザワつく幹部を押さえつけるかのように、組織一寡黙な男が口を開いた。
「……パーティーに出席するのはもう決めてある。誰がなんと言おうとこの決定は覆らない。
どうせ潰すか吸収するかの組織だ。あちら側の本当の目的は知らねぇが、俺たちはそれを利用するのみ。
__盛大に祝ってやれ。」
……ボスがこう言うならば仕方がない。が、こう祭りの話を持ち込まれると、昔のヤンチャした血が騒ぐようで、幹部たちの口角が上がり始めた。…俺を除いて。
俺は未だに考えていた。このパーティーの派遣をどう逃れるかをだ。
「……で、パーティーに派遣するメンバーだが…」
誰もが唾を飲んだ。誰もが鶴蝶の口元に集中する。
「俺、三途、竜胆、九井、鶴蝶、そして、蘭だ。」
……が、口を開いたのはマイキーだった。
……ん?まて、今俺の名前呼ばれた??
「…………ボス、悪ぃけどその日は別件が…、」
「下に回せ。俺が許す。」
「……いや、でも、」
「はんっ、どーせ嫁の不倫が怖ぇんだろ。」
「…………あ?テメェ今なんつった三途。ツラ貸せやコラ…!!!」
「あ"あ!?上等だわボゲッッ!!!!」
「__てめぇら、いい加減にしろ。」
机の蹴りあげる音で、胸ぐらをつかみ合う俺らの視線がマイキーに集まる。
「……蘭。これは梵天の今後において極めて重要な案件だ。お前の事情は汲み取れない。」
…募るイライラと焦りが、逆に脱力感を生んだ。
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作者名:すき子 | 作成日時:2022年1月22日 23時