58.Go Go 職場体験 ページ9
あれから数日、職場体験出発日。
「くれぐれも職場体験先のヒーローに失礼のないように。じゃあ行け」
と、言われるのはいいものの。私と轟さんは同じ職場体験先なので、同じ電車に乗ることになる。気まずいことこの上ない。
あれから、轟さんはしつこく私に話しかけに来ていた。鬱陶しいったらありゃしないので、適当に受け流したりたまに無視していたが。
「……はあ」
兎に角、電車酔いはしないようにしないとな。
電車に乗り、私は酔い止めを掌の上に出して食べる。
「飴か？ 俺もくれ」
すると、隣の轟さんが掌を覗き込んで言った。
「……酔い止めですけど」
「……そうなのか……」
しょぼん、としたような顔で俯いた。
私はため息を吐き、轟さんの手を掴んで、掌に飴を一つ落とした。
「良いのか？」
「……スースーしますけど、吐かないでくださいね」
私は問いには答えず、顔をそっぽ向いて言った。
「なんだかんだ、許さないって言っても色々してくれるよな」
「は」
「そういう所、時雨の良いとこなんだって思う。見習うとこだな」
バッと轟さんの方を見ると、体育祭前じゃ考えられない程に柔らかい笑顔を浮かべており、ドキッと胸が高鳴った。
……いや、待って。高鳴らないでよ心臓。
少し恥ずかしくなって、私は俯いた。
「？ 酔うぞ、下向くと」
「……ハイ……」
……複雑だ……くそう……。
◆◆◆
「ようやく覇道を進む気になったか、焦凍」
「お前の作った道を進む気はねェ」
初手で喧嘩吹っかけに行くんですか……。
「歓迎するぞ、時雨」
「よ、よろしくお願いします……」
この親子に挟まれながら、私は職場体験を行えるのだろうか。本当に。無理じゃないか？
「それじゃあ、お前ら準備しろ」
「準備って、どこか行くのか」
親しき仲にも礼儀ありの法則で、どうにか敬語くらいは使えないだろうか。身内であっても。
「保須へ行く。ヒーロー殺しステインがそこに現れる筈だ」
事務所にいるサイドキックに、「保須のヒーローに連絡しろ！」と大声で呼びかけるエンデヴァーさん。
……お先真っ暗というか、もう職場体験が真っ暗というか。
「悪ぃ、時雨。居心地悪いだろ」
「半分はエンデヴァーさんの所為かもしれませんけど、
半分貴方の所為でもありますからね？」
「おう。悪い」
思ってないなぁ……？
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
