できることなら…２【鬼滅の刃】

療やし 本気で ページ38

その表情から





良い話ではないというのが分かり

露骨に嫌な顔をしてしまう

やはり無理を言ってでも手伝いをすればよかった





「そんな嫌な顔すんなよ」

『…なりますとも』





宇髄さんは何を思ってか

おもむろに立ち上がると

戸棚から何かを取り出していた

身体が大きくて手元が見えないが









『……昼間からお酒ですか』





盃をひとつ渡され

そのまま上等であろう酒を注がれる





｢酒はいけるクチだろ

昨日はすげぇ酒の匂いがしたからな｣





宇髄さんでも分かるのなら

炭次郎にはバレたどころの話ではないな





『説教はしないのですね』

｢こんなことでする訳ないだろ｣





一口飲むとやはり上等な酒で

普通に美味いと感じる









｢ま、煉獄は違うだろうけど」





何故、私が煉獄さんと会ったことを知っている

それとも勘か…

宇髄さんはどこまで知っているのだろう





『あぁ、元々煉獄さんから聞いていたのですか』





誰でもわかるようなすっとぼけに

かわすことも身を守ることもせず

この男は攻撃を仕掛ける



















｢煉獄さん？…”杏寿郎“さんの間違いだろ」





先程よりも悪どい顔を向けられ

一気に酒が不味くなった気がした





『随分と耳がよろしいことで』





あの場から

宇髄さんまではそこそこの距離はあった筈なのに

私の声も小さめだった









｢どっかの誰かさんのお陰で

あの時は五感が優れていたからな」





まさかの自分のせいだった

流石に…これは言い訳も何も出来ない

正直に話すしかないのだろうか





｢別にお前が煉獄をどう呼ぼうか関係ねぇ」





なら話す必要なかったですよね

何なのですか



















｢はっきりしたらどうだ」





おちゃらけた様子もなく

端正な顔立ちが真っ直ぐに私を見る





はっきりしろなんて

私は最初からはっきりと断っている

あちらが強引なだけで私からは何もしていない

……今は、少し違うかもしれないけど





だって、杏寿郎さんの事は





『困っているのです』

｢何にだ？｣





抱きしれられても

手に唇を落とされても

何度も強引に接吻をされたって





























『本気で嫌いになれない』

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