一「歓迎会」(1期1話) ページ3
次の日に私は家を出て、始業式の前日には忍術学園に到着した。そして今、くのたま長屋の自室にいる。
姿見の前に立って憧れだった深緑の装束に袖を通し、最後の仕上げに髪紐を結ぶと、鏡の中には目新しくも何処か見慣れた自分が映し出される。
その時、バンッと戸が開いて大勢の人が部屋になだれ込んで来た。顔を見るとそれはくの一教室の女の子達だった。
私は咄嗟に飛び退いたから巻き込まれることはなかったものの、なだれ込んだ衝撃でぶつかり合った子達が幾人も倒れている。
『皆さん、大丈夫ですか?』
トモミ「えへへ、大丈夫です!先輩お久しぶりです!!」
「「「お久しぶりですA先輩!!!」」」
声をかけると、先に学級委員長のトモミちゃんが、後に続くように他の子達が元気よく挨拶してくれた。
(もしや、このためだけに私の所に来てくれたのか?)
私が訊ねると皆は、あははと笑って頬を掻いている。
本当に可愛いことをしてくれる後輩達だ。
その時、生徒の一人のユキちゃんが私に近づいて来た。
ユキ「“歓迎会”を行うので先輩を迎えにきたんです!」
『え、歓迎会…ですか……?』
くのたまの言う歓迎会とはただの歓迎会ではない。
それは歓迎会とは名ばかりの
“新入生潰し”の行事のことを指す。
(まさかアレをまた……)
『ユキちゃん…去年の歓迎会は覚えてますか?』
ユキ「もちろん!とても楽しかったですから!!」
『あー……』
トモミ「シナ先生にお許しを頂いた時に先輩の参加も許可して頂いたんです!ですから来てください!!ね??」
(シナ先生……勝手に参加を許可しないでください……)
断っても断っても、私の意見はお構い無しに連れて行こうとする彼女達
私は一つため息をついて、しょうがなく歓迎会に参加することにした。
本当にお願いだから去年よりマシな結果に終わって欲しいと願うばかりだった。
_____
【土井先生side】
つい今しがた、くの一教室から矢文が届いた。
内容は歓迎会の招待状
(去年もやっていた例の“恐怖の歓迎会”か)
去年の新入生がくのたまに酷い目に遭わされたことは有名だった。
そんな事とは露知らず、新入生達は女生徒に会えることに有頂天になっている。
土井「くの一教室に招かれたことがそんなに嬉しいか?」
生徒達「「はい!嬉しいです!!」」
土井「お前達は素直過ぎる……」
私はやれやれとため息をついた。
生徒達「「……先生だって少し嬉しそうですけど」」
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時