三十九 ページ41
『どうかされましたかシナ先生』
私がそう訊くと、シナ先生は「早めに伝えておいた方がいいと思ったの」と言って一枚の紙をくださった。
内容はというと、
《今日行われた六年生の実習の補習授業にくの一教室六年のAも参加するように 日程:明日》
『シナ先生!これは幾ら何でも急すぎでは……』
私が抗議するように言った時にはもう先生の姿は私の前になかった。
しかもこの文面だけじゃ一体何の補習なのかもわからない。
(やはりこれは同級の皆に直接聞くべきだよな)
私は再び歩き始めた。
『……一体全体どういう状況なんですか』
私が今目にしているのは世にも奇妙な光景である。
女装した小平太と留三郎、正座させられている文次郎にお冠の仙蔵、我関せずと茶を啜っている伊作と長次
伊作「Aちゃん、こっちこっち」
手招きされて、私が長次と伊作の方に近づいていくと二人はシーッと人差し指を口元にあてた。
長次「今、仙蔵が説教中なんだ……」
伊作「静かにしてないとこっちまで怒られちゃうよ」コソッ
『で、原因は何なんですか?』
仙蔵「五月蝿いぞA」
凄い形相で此方を睨みながら言う仙蔵
(なんだか最近は怖い顔の仙蔵ばかりを見ている気がする)
『それはすみませんでした』
私がケロッとした反応をしたからか、仙蔵は不機嫌そうにムッと顔を顰めた。
仙蔵「ところで、お前はなんで此処に来たんだ。此処は
『皆に聞きに来たんですよ、この紙読んでください』
さっきシナ先生から貰った紙を仙蔵に渡すと、仙蔵は深いため息をついた。
仙蔵「お前も参加するのか明日の補習授業……」
『ええ。それより、全員が実習を失敗したというのは本当なんですか?』
すると皆が一斉に私から顔を逸らした。
何が何でも目を合わせたくないようだ。
(どうやら噂は本当らしいな)
仙蔵「そもそも全員が失態をおかした訳じゃない。今回の実習の失敗は、主にこの三人が原因だ」
仙蔵が指差したのは小平太、留三郎、それから文次郎だった。
伊作「今回の実習はクラスメイトと恋仲に変装して町に潜入するというものだったんだけど……」
『察しました』
実はつい先日この三人の女装の補習授業の審判役に駆り出されたばかりなのだ。
この三人の女装ときたら、女をなんだと思ってるんだというような出来だった。
なるほど、実習が失敗に終わったのも納得だ。
283人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時