恋慕 11 ページ12
貴「…ハァ」
ローズレイ邸に戻ってから、Aは何回も文を書いてはグチャグチャに丸めることを繰り返している。
貴「ハァ…どのような内容を書けばいいのかしら…」
ウーンと頭を考えながら、テーブルに頭を擦りつけている。殿方への手紙なんて貰ったことはあるが、自分で書いたことは無い。
貴「…!!会いに行けばいいんだ!!」
Aは普通に頭はいいのだが、こういう時になると行動力が鬼になる。
貴「そうと決まれば…」
Aは、とりあえず持ち運びができるバックに動きやすい服装。金貨を手に入れ準備を完了した。
貴「よし、今は姉様はいないから…チャンス!」
ソーッとドアを開けて廊下を確認したA。メイドも執事の姿も見えない。今なら逃走するチャンスだ。
貴「…」
Aは、静かに廊下を歩いている。ジャックの手土産の美味しい茶菓子も密かに入れている。
貴「…ヘヘッ、案外、大丈夫ですね」
何とか階段を下り、1階に到着することが出来た。しかし、外のドアに手が触れた瞬間、雇っているメイドとガッツリ目が合った。
貴「少し、出かけてきます!!」
メイド「!?A様!!お待ちください!!!」
勢いよくドアを開けて、猛スピードで走っている。後ろからメイドの声が聞こえてくるが頑張って振り切っている。
貴「ハァハァ…」
死に物狂いで走り、ローズレイ邸を後にした。建物の後ろに隠れ静かになるのを待っている。
メイド「Aさまー!どこにいるのですかー!?」
執事「Aさまー!」
Aの事を探しているメイドと執事の声が聞こえる。ここで見つかったら当分外に出ることが出来なくなる。
貴「ソーッと、ソーッと…」
Aは、静かに四つん這いになりながら建物の後ろを進んでいる。何とかして王貴界から抜け出して、翠緑の蟷螂団の元に行かねばならない。
貴「…よし」
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作者名:唐墨 | 作成日時:2022年2月27日 1時