検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,901 hit

2話 ページ3

夕暮れの公園に、少年少女が2人。



向かい合ってお互い一言も言葉を発することは無い。



2人の間を流れる緊張と集中。




ボールを持った少年が右へフェイクをかける。




それを読んでいた少女は、左へ重心を傾けた。



しかし彼女の動きに反応した少年は再度右へ動き、一気に少女を抜き去ってシュートを決める。




時間にするとほんの数秒の出来事。



「あー!抜かれたぁ〜!!」



私は悔しくて声をあげる。

けれども、この少年の技術は見惚れてしまうくらい高いものだった。



「いや、今のは俺も読まれるとは思わなかった。」



そう言って少年は楽しそうに笑う。


さっきまでの張り詰めた空気からは一転し、2人の間に弾けるような笑顔が咲いた。




「ちょっと休憩しようよ、さすがに疲れた。」


私が促すと、彼はちょっと待ってて、と言ってどこかへ向かう。


帰ってきた少年は、2本分の飲み物を買ってきてくれた。


「あ、ごめん。なにも考えずに炭酸買ってきちゃったけど飲める?」


私に炭酸の入ったペットボトルを渡そうとして彼が問いかける。

私は頷き、それを受け取った。



蓋を開けると、炭酸が抜ける時の爽やかな音。

少しの刺激と、甘さが口の中に広がる。





透明な炭酸が入ったペットボトル越しに日が落ちてきた空を見ると、きらきらと輝いて、別の世界のようだった。




それから私たちは座りながら色々な話をした。


彼の名前を聞き、そこから由来して『シルクロード』というあだ名で呼ばれていることを知った。





シルクは同い歳で、隣の中学校に通っているらしい。

通りで見たことがないわけだ。



私のこともたくさん話した。



クラブや部活はやっていないこと、父親が昔バスケットボールの選手だったこと、毎週ここに来てバスケをしていること。




そうして話をしている間にいつの間にか辺りが暗くなっていて、お互い門限に焦りながら帰った。




親に怒られる!と声を揃えて互いの家路に着いたが、それすらもなんだか笑えてきて、家に帰ってからも浮き足立っていた。

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
96人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

www - 続きって書けますか? (2019年11月3日 14時) (レス) id: c017dbb3ff (このIDを非表示/違反報告)
www - なるかさん» でしょでしょ?!(笑) (2019年10月5日 21時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)
なるか(プロフ) - wwwさん» これは、続き気になりますねー (2019年10月4日 22時) (レス) id: cc5fc6c73c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - できたらで良いのですが、番外編のような形で今日の深イイ書いて欲しいです。お願いします。 (2019年9月30日 22時) (レス) id: b3e45f8b93 (このIDを非表示/違反報告)
www - 更新よろしく☆ (2019年9月29日 16時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:來(らい) | 作成日時:2019年9月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。