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時は流れ、8月31日。

世間的には夏休みの最終日を迎える日。


ヴーヴー

俺はスマホのバイブ音で目を覚ました。

表示されているのはメンバーである『ンダホ』の文字。

寝起きの悪い彼がこの時間に起きているのは珍しい。


「もしもし、だほ?どした?」

「どーしよ、シルク…
俺のPC壊れたかもしれん…」



そう告げる彼の声は覇気がなく、心の底から落ち込んでいるのがわかる。


「まじかよ!?
動画のデータとかは大丈夫なの?」

「わかんない。
昨日からなんとなく調子悪かったんだけど、寝落ちしてて3時くらいに起きたら起動しなくなってた…」



ンダホのPCにはかなりの数の動画のストックも入っているはずだ。

動画は必ずバックアップを取るようにしているから最悪の事態は免れるが、それでもかなりの損失になる。



何しろ作業ができるPCが1台減ることになるから。



「それ他のメンバーに言った?」

「うん、マサイの家で作業してたからマサイにはさっき伝えたよ。
それで今マサイに見てもらってるんだけど、やっぱりわかんないって。」

「まじか、とりあえずそっち行くわ。」


あまりに緊急事態のため、着替えだけ済ませて上の階へ急ぐ。



マンションの階段には、命を燃やし終えた蝉が何匹か転がっていた。



マサイの家に着くと、ンダホもマサイも困り果てている。


これはもう修理に出すしかないと結論付け、結局そのままマサイの家でダラダラと1日を過ごした。



動画を撮って、ゲームをして、メンバーと馬鹿みたいに笑いあって。




いつも通りの日常。






いつの間にか蝉の声が聞こえなくなり、照りつけるような陽射しは傾くのを早め、コンクリートに陽炎を見ることも少なくなった。



あぁ、今年も夏が終わる。

そんなことを考えながら、俺は何気なく1日を終えた。

陸→←肆



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りんてん - え、もう感動して涙がポロポロ...。 泣けました!素晴らしいです!! (2019年10月25日 23時) (レス) id: e2668604a6 (このIDを非表示/違反報告)
どこか村のだれかさん - 気づいたら読み終わってました!面白かったです! (2019年9月9日 0時) (レス) id: 3706e8b566 (このIDを非表示/違反報告)
バニレ - とても面白かったです。更新待ってます。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 527198f7e6 (このIDを非表示/違反報告)
www - イエ―イ!面白いよ!相変わらず!w (2019年8月26日 17時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月25日 21時

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