35話 ページ39
モトキくんたちを探して会場を駆け回るが、なかなか彼らの姿は見当たらない。
どこにいるんだろう。
お礼しなきゃいけないのに。
「るりちゃん！」
不意に背後から呼び止められた。
今は違うとはいえ、未だにその声には心臓が跳ねる。
「天月くん！！」
今日のライブにおいて、彼の協力なしでは成功はなかった。
私の中で天月くんはやはり大切な存在なんだ。
「今日のライブ、すごかったよ。
るりちゃんじゃなきゃ、作れないステージだった。そんな場所に、間接的にでも関わらせてくれてありがとう。」
微笑みながらお礼の言葉を口にする天月くん。
その目尻はほんの少しだけ赤くなっているような気がした。
「ううん、お礼を言うのは私だよ。天月くんがいなきゃ、何もできなかった。」
目の前の彼を好きだった時間が本当に楽しかったことは紛れもない事実。
天月くんがいなければ、モトキくんと会うこともなかった。
「るりちゃんの想い、伝わったと思うよ。」
「なんでそれ…」
「るりちゃん案外わかりやすいよ？」
どこかで聞いた台詞。
そういえば、あの人もこうやって気づいてくれたっけ。
「まだこれから話をするべき人がいるんでしょ？俺はまふくんたちのところ行ってるから、るりちゃんもいっておいで。」
そう言ってこの場を去ろうとする天月くん。
「『つっきー』！！」
背中を向ける彼を私は呼び止めた。
彼はひどく驚いた顔をしてこちらを振り返る。
そんな彼に向かって笑いかけた。
「"ねぇ、君は気付いてたの？"」
彼ならきっとわかってくれる。
この言葉の意味に。
私がそう言った途端、私の身体は大好きだった匂いに包まれた。
私を抱き締めながら、震えた声で天月くんは歌い出す。
「"誰かに笑われるような儚い夢だとしても、どうか叶えてよね、きみだけは。"」
その歌詞の意味を悟って、涙が溢れる。
すぐに私を包んでいた彼の身体が離れると、天月くんは何も言わずまっふ達のところへ向かった。
私たちに、『好き』とかそういう言葉は必要ない。
本当の想いは直接告げないまま終わるくらいが私たちには似合っている。
不器用な、私たちだから。
…本当に伝えなきゃいけない人に、会いに行こう。
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もきたん - 星の数が足りない〜ﾎﾟﾁﾎﾟﾁﾎﾟﾁﾎﾟﾁ (2020年9月13日 10時) (
レス) id: 0ceb3868db (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - LINEのところの吹き出しってどうやりますか？私も登校しているのですが、やり方が分からなくて…教えてください！この作品大好きです！ (2019年10月25日 20時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - 一気読みてしまいました…笑素晴らしいお話でした!!!天月くん視点の話も見てみたいです！ (2019年9月25日 20時) (レス) id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)
ここぐみ - 付き合ってからの二人が気になる！ (2019年9月6日 19時) (レス) id: 08670c7dca (このIDを非表示/違反報告)
せいら/うおたみん(プロフ) - 付き合ってからの2人、気になります！お時間があれば、ぜひ作ってください(´∀`)次回作も楽しみにしてます(*^^*) (2019年9月3日 21時) (レス) id: 2c14e8117c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來（らい） | 作成日時：2019年8月13日 2時
