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怪我 / sgi -千夏さんリク- ページ7

ガラッ


扉を開けると真っ白な部屋に、真っ白なベッドがポツンと1つ。


その上には


福良「須貝さん……」


酸素マスクをつけ、布団で隠れたお腹には恐らく包帯が巻かれているであろう須貝さんが目を瞑っていた。


その目も、手も、全く動く気配がない。


福良「何で俺、あの時……」


須貝さんが今眠っている原因は俺。



今から2週間くらい前。


福良「え……?これ……」


つけられてる……?


コツコツと高い音を鳴らす足音。


ヒールっぽい音がする。女の人……?


怖くて仕方がなくて、必死に走った。


風で足音が聞こえなくなるくらいに本気で走って


福良「はぁ、はぁ……」


気づいた時には玄関でしゃがみ込んでいた。


福良「怖、かった……」


自分の肩を抱いた時、初めて自分が震えていることに気づいた。



それから毎日、同じ足音が後ろから聞こえてきて


正直、オフィスでいつも通りを装うのも難しい。



ストーカーをされ始めて10日経った日。


須貝「……くら、福良……!福良!」


福良「っ……!あぁ、須貝さん。何ですか?」


須貝「何ですか?じゃないよ。ずっと呼んでたのに、めっちゃボーッとしてるじゃん。何かあったの?」


こんなこと、誰にも言えない。


福良「何にもありませんよ。それより、どうしたんですか?」


須貝「最近様子が可笑しいから、何かあったのか聞こうとしてたの」


それ、どっちにしろじゃん。


須貝「で?どうしたの?」


須貝さんは、俺の目をジーッと見て離さなかった。


その視線に、俺は負けた。


福良「実は……」


ストーカーのことを思い出すと、途端に身体が震えてきて


そんな背中を、須貝さんは優しく撫でてくれた。


須貝「怖かったな」


そう一言添えて。



俺が落ち着いてきた頃、須貝さんが急にガバッと立ち上がった。


須貝「よし、じゃあ帰ろうか!」


福良「え、俺は帰れますけど……須貝さんまだやること残ってたんじゃないですか?」


須貝「あ〜、あったような気もするけど……どっか行った!まぁ、まだ時間に余裕があるからさ。それに、そんな怯えた顔をしている人を放っておけるほど、俺は冷めた人間じゃないからね」


今日も1人で暗い中、あの足音を聞きながら帰ると考えると気が狂いそうで


福良「ありがとうございます」


今回は甘えてみるのも良いかもしれないと思った。

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凛花(プロフ) - 穂香さん» 穂香さん、Part11に下さったリクエストもしかして消されましたか?既に拝見させて頂いておりますし、丁寧にコメントも下さってすごく嬉しかったです。是非お応えさせて頂きたいと思っておりますので、お手数お掛けしますが、もう一度リクエストして下さると嬉しいです! (2021年3月27日 20時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - KARENNさん» コラボですか……。作者をやっている者だけの楽しみ方ですもんね!合作とかされている作者様たちを見ると、すごく羨ましくなりますよ!駄作者の私にはまだまだ誰かと創るなんて早いですけど。折角の文才を私が台無しにしてしまいますから相手の評判を下げてしまうので! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - KARENNさん» 返信が遅くなってすみません!遅すぎですね……。先日、数えてみて140個という数字に驚きましたよ(笑)私だからかどうかは分かりませんが……。駄作者である私にリクを下さるのは、皆様が優しい方々だからだと思いますよ! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - ルルさん» そうやって寛大な方で安心しました!お優しい方に読んで頂いているという方ですね!どういう結果になっても頑張ろうと思っておりますので、最後まで応援して下さると嬉しいです! (2020年11月23日 23時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 続きです 表現の違いなども小説を読んでいく上で楽しみの一つとなっています。なのでこれからも凛花さんらしい小説を書いてくれたら嬉しいです。長文失礼しました! (2020年11月23日 23時) (レス) id: 24ba0d1a0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凛花 | 作成日時:2020年10月4日 11時

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