【d!】85%の敬愛 (ページ19)

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特に何も考えず部屋を出たが、その判断を今は後悔している。部屋を出て10分ほど経つが、入浴場がどこか分からないのだ。パジャマを持つ腕が少し疲れてきた。

『マップとか無いのかな、やっぱ無いよねここ観光施設じゃないし』

挙句の果てに一周して自室の前に戻ってきてしまう始末。助けを呼ぼうにも先程の騒がしさが嘘のように、異様なくらい誰も居ないし音もしない。
“私の部屋がある廊下には、私だけでなく幹部の部屋も並んでいる”
食事中に誰かから聞いた言葉を思い出す。そうだ、適当に訪問して場所を教えてもらおう。それくらいなら怒らない…はず
重厚感のある木製のドアが沢山並んでいる。名前の表記など無く、誰がどの部屋かなんて分からない。
幸い私の部屋にだけ、ドアノブにピンク色のカードキーのようなものが下がっているから分かるのだが…
私は当たって砕けろ精神で、私の部屋に1番近いドアをノックした。

｢ん？っえ、どうしたのAちゃん｣

『あ、シャオロンさんの部屋なんですねここ…』

部屋から驚いた様子で出てきたのはシャオロンさんだった。誰の部屋か分からず訪ねてしまった私に

｢あかんよ、そんな易々と自分から男の部屋行ったら…｣

と忠告する彼。まぁ確かにそれはそうなのだが、それはどちらかに気がある男女だけのことだと思っている。かくかくしかじかで事情を話すと、彼は親身になって話を聞いてくれた。

｢俺で良ければ案内するで｣

そう言うと、シャオロンさんは私の手を取り歩み始める。先程から違和感を感じていたのだが、この建物には時計が無い。地下だから窓が無いのは当たり前なのだが、時計まで無いとなると不便に感じないのだろうか？
後ろを振り返るも、誰1人出てくる様子は無かった。食事中との温度差で風邪をひきそうになる。
なんとなく繋がれた手を見ると、やっぱ男の人なんだなぁと改めて実感した。

ピコン♪

ポケットに入れた携帯が軽やかな音を発す。
彼に断りを入れてから画面を見ると、母からだった。どう返そうか悩んでいると、私の手中から携帯が消える。

｢おかーサンと連絡とってるんや？親想いで可愛ええなァ…ほんま、恋してしまいそう……ああそうだ、風呂入っとる間“コレ”預かっておいてあげるよ｣

『いや、流石に貴重なものなので自分で管理出来ますよ。お気遣いありがとうございます』

流石に携帯の中身を見られては困る。
彼の腕に手を伸ばした、その時だった。