参 ページ4
.
『やぁやぁ初めまして、私の名前はA』
女性の手脚をもぎ取り貪る鬼の背後から声をかける
『いい夜だねぇ』
そう、今日は私の好きな月が一際くっきりと浮かんでいる
.
鬼「キサツ隊…シカモ女………コレハ、クワナキャ」
涎と血を口から垂らしながら「クワナキャ」と連呼した後姿を消し、一瞬にして私の目前に現れる
『そっちから来てくれるなんて』
カチン
と音を立てて刀を鞘におさめると
目の前の鬼の首はぷつりと切り離された
鬼「イツ、刀ヲ…抜イタ…??」
今度はナンデと連呼しながら消えていく鬼
弱かった…手応えなんて無さすぎるぜ…
『可哀想に…来世では鬼にならないといいな』
微塵も思わないが上っ面の台詞を消えゆく鬼に与えてみれば
「君、前世とか信じるようになったのかい?」
.
『ッ?!』
.
気付かなかった
瞬時に振り返り、間合いを取ろうとするも
「やぁやぁ久しぶり、いい夜だねぇ」
血をかぶったような頭の男に腰を引き寄せられた
身長差のある私に顔を近づけて満足そうに笑う男の眼には虹があり、驚きながらもその光に目を奪われた
ただ目を合わせただけなのに
体の中の液体が揺らめくような胸騒ぎがした
童磨「記憶、無いんだってね」
笑顔を消した男は、悲しげな声で囁く
『貴方、私のこと知ってるの?』
目の前の男は私の両頬を持ち上げるようにして上を向かせながら「知っているよ」とだけ答えた
童磨「俺の名前は童磨」
まさか柱になるなんて、あの方から呼び出されてお説教を受けてしまったよと意味のわからないことをヘラヘラと続ける男に『あの方?』と聞くも無言の笑みで流された
童磨「俺の結晶ノ御子はどうだったかい?…ほら、君は氷人形さんって呼んでくれてたやつ」
『貴方のだったのね…』
俺は忙しくて会いに行けなかったんだ
だから屋敷から結晶ノ御子を送って君の様子を見てきてもらってたんだぜ
と穏やかに話す目の前の男は鬼だろう
それも強い、恐らく上弦
『どうしてこんな遠回しなやり方なの?』
毎日のように血鬼術で私の様子を探るなんて丁寧ね、と付け加えると
童磨「探知探索は苦手な俺がやっと見つけたのに、記憶が無いなんてね…俺を知らない君に会うのは何故だか決心がつかなかったんだよ」
.
.
475人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パラカズ(プロフ) - 素敵すぎる作品でした。今まで童磨は嫌いてましたが本編を読んで一気に好きになりました。ありがとうございます (2022年7月19日 19時) (レス) @page43 id: baf67f2e39 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 素敵な作品でしたね!次の作品も期待してます!煉獄さんも良いけど、童磨とも結ばれてほしかったけど、煉獄さんの想いに感動です! (2021年3月10日 13時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 感動しました!楽しかったです! (2021年3月10日 12時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - あの、、とてもとても素晴らしい作品をありがとうございました…!泣きそうになりながら一話一話噛み締めて読みました…こんな素敵な作品に出会えて幸せです…!完結おめでとうございます! (2020年11月30日 23時) (レス) id: 86023f8af9 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。 (2020年11月30日 21時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でんでん x他1人 | 作成日時:2020年11月23日 12時