拝啓、失恋者ども

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［おはようございます。こちら、久保田Aさんの携帯番号でお間違い無いでしょうか？］







知らない番号、知らない声。


「はい、そうです」



［私、スターライト社の伊藤と申します］







「え？」



思わず落としそうになったスマホを握り直し、向こうの声に耳を傾ける。






［レペゼンさんの動画を拝見しまして、メイクされているのが久保田さんだと伺いお電話させていただいたのですが］



今、何が起こっているのか理解できなかった。




スターライト社は、ドラマでも主役を張るような俳優が大勢いる大手芸能事務所だ。



マネージャーからスタイリストまで育成してくれることでも有名だ。




そんな所から電話？天変地異でも起きたのだろうか？







［今回、私どもの事務所に入っていただきたくお電話させていただきました。もし宜しければ、詳しくお話をさせていただけないでしょうか？］



「え、えっと…時間と場所をお伺いしてもいいでしょうか？」





声が震える。現実か夢か、まだわからない。





でもこんな機会二度と無いかもしれない。やってきたチャンスは掴んで離さない。




しゅんちゃんからそう教えてもらったから。












スターライト社から時間と場所を聞いて、スマホを閉じた。



あぁ、よかった。




どっちも諦めないですみそうだ。






その時、LINEの着信音がなった。



〈話があるけん、事務所来て〉






見計らったかのようなタイミング。







ねぇ、しゅんちゃん。






これでよかったんよね？









ねぇ、しゅんちゃん

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