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「いった…」
血で汚れたベッド。
昨日転んだ時に怪我でもしたのか、ふくらはぎに大きめの擦り傷ができていた。
あの後、どうやって帰ってきたのかも覚えていない。
余力を使い、洗面台まで向かう。
鏡に映る自分に思わず失笑した。
乱れた髪、涙でボロボロになったアイシャドウ、赤く腫れぼったくなった目。
ガラスの靴の1つも持っていない私は、シンデレラにはなれない。
「ふっ…ふふふっ…あはははっ!」
バカみたい
勝手に好きになって
期待して
嫉妬して
現実突きつけられて
結局このザマ。
ほんと
「バカみたい…」
あの日、私に魔法をかけたお姉さんは言った。
女の子を可愛くする1番な化粧は、笑顔だと。
本当に?
なら、どうして、私に魔法はかからないの?
どれだけ笑顔でいようとも、愛する人は私を見てくれない。
私が目指していたのは、なりたかったのは、こんな姿じゃない。
可愛くなりたかった。
しゅんちゃんを好きになるずっと前から。
可愛い子が羨ましくて、キラキラ輝いて見えて、いつか自分も可愛くなりたいと思っていた。
そんな時に出会ったのが、化粧。
私を変えてくれた大事な物。
しゅんちゃんを好きになってからは、さらにその想いが増した。
好きな人の隣に立てるように、一層メイクの勉強を頑張った。
周りを観察しながら、本やネットで独学で学び続けて、ようやく専門学校に行って、ずっとずっと、メイクと向き合ってきた。
でも、もう限界なのかもしれない。
ベッドの上に投げ捨てられたスマホにメッセージが届いた。
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なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時