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さっきのあれは、何だったんだろう。
足元からゾクゾクと何かが這い上がってきて、気を抜いたら全身を覆い尽くされてしまいそうだった。
気持ちの悪い感じがしなかったから余計にタチが悪い。
今日は早めに帰って寝よう。
「んっ……ふ、、、んんっ」
その時、近くから艶っぽい声が聞こえた。
水の混ざり合う音が聞こえ、確実に逢瀬だと確信した。
確かにここら辺は人目にもつかないし、さぞやりやすいだろう。
でも普通にここを利用する人だっているんだ。《私みたいに)
どうしてそういう人達の事を考えられないんだろうか。
いや、羨ましいとかそんな事は思っていない……
どうしようかな、ここを通らないと帰れないんだけど…
「チカ」
え?
身体中の筋肉が強張り、ドクドクと速い速度で血液が回る。
まるで耳の中にあるみたいに、心臓の音も煩く鳴っている。
見るな
見たらダメだ
今ならまだ引き返せる
お願い
「んんっ、、しゅんっ……んあっ」
「っ…!」
そこには、舌を絡ませながら互いを貪り合う、しゅんちゃんとチカさんがいた。
走った。
2人が見えなくなるまで。
あの音が聞こえなくなるまで。
嫌だ
嫌だ
嫌だ
「っ、はぁっ、、、はっ、、はっ、、はぁっ…」
転んで勢いを失った脚は、もう動かない。
何度も何度も、同じ光景が頭の中を流れていく。
「はぁっ、、ふっ、、うぅっ……ふぐっ……、、んぐっ……
あぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」
暗い夜道で、1人。
声が枯れるまで泣き叫んだ。
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なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時